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派閥評判 「おいこのゴミグルが持ってきた巻物どうすんだよoi紀伊店のか」って新規ちゃんのページ そのほかにも必要な派閥評判についても書かれてある便利なページ☆ ここは派閥評判関連だけの話だから他の必要なSPSとかは職業ページ見るなりギルチャで聞くなりしろ 派閥評判ってのは収集してると ミグルが持ってくる巻物を報告する事によってたまる評判の事。 よく邪魔だとか言って捨ててる新規ちゃんがいるけど凄く大事なものなので注意 職別によって必要な巻物いらない巻物などがあるのでここでチェックしよう!! 適正の巻物じゃないと評判値も入らないので適正の巻物を報告しよう 派閥いらない職もあるけど報告しとけば経験値も入るしうまい どのレベルの巻物でどれくらい評判はいんだよksってやつは ここみろ 巻物は自分のレベル-4まで経験値や評判はそのまま。 5から減っていく。つまりレベル-5からはまずい ナンドモ=獲物収集で持ってくる巻物を報告 ディープ=草木収集で持ってくる巻物を報告 鉄鉱石 =鉱石収集で持ってくる巻物を報告 巻物で上げる派閥評判以外にもこんなのがあるよ クリスタル守護軍=毎週土曜日にあるGVに参加する事で上がる ※守護軍はSPSを買ったりするとその分なくなる アラクティカの心=BFに参加する事で上がる 派閥評判ってのは基本ディープ鉄鉱ナンドモの事をさす。 他にアラクティカの心やクリスタル守護軍も派閥の1種だよ 各職の必要な派閥評判バーサーカー パラディン テンプラー プリースト ウィザード ネクロマンサー レンジャー アサシン 各職の必要な派閥評判 バサ=かえる パラ=のーれい テン=まりあ プリ=まりあ ウィズ=ぷちぷち ネクロ=まくら レン=しょぼん アサ=あなう 分からない事は大体こいつらに聞け バーサーカー ◆ディープ36000 第1暴走狂化強化石(ディープ25000) 地の古代SPS・魔の爆発抵抗Ⅰ(効果=被魔法会心率-12%) ◆ナンドモ25000 第1狂気の舞強化石 ◆クリスタル守護軍2500(あれば強い) 致命傷阻止Ⅰ(効果=被会心率-5%、被物理会心ダメ-15%) 備考 のうきんにはばつはいらない 致命傷阻止があれば魔の爆発抵抗Ⅰもいらない 致命傷阻止は強いので取ろう ディープ25kとナンドモ25kあればメインバフの時間が2秒も延ばせるから上げれるやつは上げとけ パラディン ◆クリスタル守護軍2500/3000 致命的な破壊Ⅰ(物理会心率+5%,命中率+10%)/ヘイトアップⅠ(攻撃速度+8%,ダメージヘイト+10%) ◆鉄鉱石25000 スキル強化石・最終決戦の旗Ⅰ(効果時間1秒延長,Ⅱで最大2秒延長) ↑範囲内の自分含め味方の全ダメージカットするすごいやつ ◆ナンドモ25000 スキル強化石・破甲の強襲Ⅰ(効果時間1秒延長,Ⅱで最大2秒延長) ↑物防・魔防さげるやつ 備考 上から優先っていうか楽な順。 3派閥は別に必須ではない。あったら強い。 テンプラー よく分からなかったらまりあに聞け ◆ナンドモ36000(最優先) レベル66地の古代SPS・素早い詠唱Ⅰ(効果=詠唱速度+10%) ◆鉄鉱石36000(必須だけどナンドモを先にやれ) レベル73月の古代SPS・魔化する心臓Ⅰ(効果=HP上限+5%、魔法防御+7%) 余裕があれば25000で買えるハンマスⅣも覚えるといい感じ ◆クリスタル守護軍3000と3400で合計6400(必須) レベル66星の古代SPS・傷口修復Ⅰ(効果=攻撃を受けた時5%の確率でHPを800回復、防御+5%) レベル72神聖なる防護Ⅳ ◆アラクティカの心16000(必須) レベル69光魔力Ⅳ 備考 ディープの古代はゴミなので特に上げる必要はない 古代SPSは転職後からしか覚える事が出来ないのでまったりでおk 優先順位はナンドモの36000鉄鉱石はナンドモ終わってからあげりゃいいんじゃね もう1回言うとにかくナンドモ36000にしろ クリスタル守護軍はGVで回復ゲーすりゃすぐ取れる アラクティカの心はBFに出るとたまるポイント。これは必須 Ⅳをとることによって司教が大司教になって詠唱も10%あがる。 スキル石のほうは特別必須なものはないので好みで。 プリースト ◆鉄鉱石25000(36000)(最優先) 25000→ハンマーマスタリーⅣ 36000→地の古代SPS・古代・精通した魔法の杖Ⅰ(効果=杖装備時魔攻+15%) ◆ナンドモ9000(余裕があれば25000) 自然の力Ⅲ(25000でⅣ) ◆ディープ36000(あれば強い) 星の古代SPS古代・防御の姿Ⅰ(効果=物理防御+10%、ダメージヘイト+20%) ◆クリスタル守護軍3400(必須) 影ウルフのエキスパートⅣ ◆アラクティカの心16000(必須) マジックワンドの防御Ⅳ 備考 プリの最優先は鉄鉱石の25000(36000) ナンドモは出来ればあれば強いらしい。んでもって25000あるとなおいいらしい ディープもナンドモと一緒で、あれば強いってだけで必須ではない まあとりあえず鉄鉱石上げてれば問題ないです。 クリスタル守護軍3400で買える影ウルフエキスパⅣが強いのでゲットしよう 守護軍ポイント余裕があるなら73の戦う意思なんかもあるといい 心16000で買えるマジワンⅣは必須なのでBF防具とる過程で覚えればおk ウィザード ◆鉄鉱石36000(最優先) 9000→魔法マスタリーⅢ(効果=詠唱速度+20%、スキル使用中断される確率35%減少) 25000→第1連鎖エレクトリックアロー強化石 36000→魔攻アップⅠ(効果=魔攻+10%) ◆ディープ36000 25000→魔法マスタリーⅣ(効果=詠唱速度+22%、スキル使用中断される確率45%減少) 25000→第1急凍アイスアロー強化石 36000→魔力アップⅠ(効果=SP上限+15% 知力+10) ◆ナンドモ25000 25000→第1ヒートウェイブ強化石 備考 最優先で鉄鉱石を36kまで上げよう 鉄鉱石が上がったら次はディープを36k こっちは72以上で必要になるものだから優先度は低め それも上がりきったらナンドモを上げてスキル強化石を取る感じ 魔職は1発の威力が重要だからスキル強化石の効果は大きい 他はソーサラーのページを参照 ネクロマンサー ◆鉄鉱石(最低9000、BFでつええするなら25000) 9000(最優先)→魔法マスタリーⅢ(スキル使用を中断される確率を35%減少、詠唱速度を20%上昇) 25000→第1ライフスティール強化石 36000→古代・爆撃抵抗Ⅰ(受ける会心ダメージ25%減少、物理会心を受ける確率5%減少) ◆ディープ(最低0、BFでつええするなら25000) 25000→魔法マスタリーⅣ(スキル使用を中断される確率を45%減少、詠唱速度を22%上昇) 25000→第1強化バッドラック強化石 ◆ナンドモ(最低0、BFでつええするなら25000) 25000→第1強力疫病神の印強化石 36000→古代・魔の影Ⅰ(闇耐性+10 回避+8) 備考 正直鉄鉱石9000あればどうにでもなる あとはBFで無双したいなら全部25000、古代(36000)は好みというかこれよりいいのがモンスターからドロップ するからそれ使おう所詮つなぎでしかない サラのほうにもかいてあるが、魔職1発でかいうえに物理職は第2強化石入れてもダメージ3%しかあがらないのが あるのに対し、魔職は5%あがるからとっとこね レンジャー +◆ディープ魔法学院 名前 必要評判値 効果 備考 快速開弓Ⅲ 9000 攻撃速度20%上昇 最重要マジ大事だからさっさと9000溜めろ。 古代・化け物の影Ⅰ 36000 回避6% 移動速度+5% 9000ためた流れでそのまま36000溜めよう。 古代・化け物の影Ⅱ 40000 回避+8% 移動速度+5% 正直誤差だが36kまで溜めたなら40k溜めちゃえ +◆ナンドモ鑑定団 名前 必要評判値 効果 備考 雪獅の銀色のたて髪 16000 製造品の素材 命中うpとか物理攻撃うpとかで俺つえー。対人用 快速開弓Ⅳ 25000 攻撃速度22%上昇 Ⅲから2%しか増えないため誤差。 +◆その他必要な評判 名前 必要評判値 効果 備考 精密照準Ⅳ Gv3400 物理会心率+7% 物理会心ダメ+15% レンシュタGv稼ぎやすいからとっとけ 古代・迅速な戦いⅠ Gv2500 遠距離攻撃速度+7% 命中+15% 必須だからGvでて取ろう 古代・素早い爆発Ⅱ Gv5000 光速反応の効果2.5秒増加 ⅠはIDボスからドロップ 古代・致命的な痛撃Ⅰ イルヒア16000 会心ダメ+15%上昇 月古代はこれで決まり。必須だからまじ頑張ろう 備考 簡単な流れとしては、 草木収集で9000にして快速開弓Ⅲを取る(できれば50レベで) その後、草木収集を続け36000にして古代・化け物の影をとる。 それからはナンドモをちょくちょくあげるなり、ディープを40000にするもよし。 鉄鉱石は雷電反応強化石があるため上げたい人は上げればイイけど優先度低め ※快速開弓=SPS名に弓と入っているが銃の攻撃速度も上がる アサシン ◆鉄鉱石36000(最優先) 25000→第1雷電反応強化石 36000→古代・二刀流精通Ⅰ(二刀流ダメージ+10% パワー+5)(必須) ◆ディープ36000 25000→第1束縛の一撃強化石 36000→古代・暗影の援護Ⅰ(ダメージヘイト-10% 回避+15) ◆ナンドモ36000 9000→会心回避Ⅲ(物理会心を受ける確率を18%減少 物理会心で受けるダメージを35%減少) 25000→第1寿命襲撃強化石 36000→古代・鋭敏な動きⅠ(移動速度+5% 速さ+40) 備考 とりあえず新規のお前らは何も考えず鉄鉱石を36000まであげろ!! いいか!!脇目も振らず鉄鉱石をあげろ!!1 それが終わったらディープも36000まであげとこか古代なかなか強いから ナンドモは暇だったらでいいよ 60BFしか眼中にないってやつはしらねナンドモでもあげとけばいんじゃね
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ココでは星の記憶の管理メンバーを紹介します。 管理人:シャナ 副管理人:プリニーEXDX/四季 装備品データ作成:Leon S Kennedy/マルス/天空七将ナツ 職業データ作成:刹那・F・セイエイ/六道輪廻/春風 技データ作成:御坂美琴 街の施設作成:獅子/TERA ストーリー作成:ヘロン イベント企画:RED STONE 公式攻略wiki管理人:垣根 帝督
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第二回放送までの本編SS 朝 No. タイトル 作者 登場人物 083 ハラキリサイクル(上) 忍法・戯言破りハラキリサイクル(下) 忍法・神落とし ◆LxH6hCs9JU 朧、涼宮ハルヒ、いーちゃん 085 箱――(白光) ◆LxH6hCs9JU 玖渚友 086 FRAGILE ~さよなら月の廃墟~ ◆MjBTB/MO3I シャナ、櫛枝実乃梨、木下秀吉 087 人をくった話―Dig me no grave―(前編)人をくった話―Dig me no grave―(後編) ◆ug.D6sVz5w ステイル=マグヌス、白純里緒、黒桐鮮花、クルツ・ウェーバー、土御門元春 088 思慕束縛 Tears ◆UcWYhusQhw 両儀式 089 ゆうじスネイク ◆LxH6hCs9JU 坂井悠二、キョン 090 あるお姫様の御伽話 ◆UcWYhusQhw 姫路瑞希 091 「葬儀の話」― Separation ― ◆LxH6hCs9JU シズ 092 行き遭ってしまった ◆olM0sKt.GA 紫木一姫、シャナ、木下秀吉 093 『物語』の欠片集めて(前編)『物語』の欠片集めて(後編) ◆02i16H59NY インデックス、御坂美琴、ヴィルヘルミナ・カルメル、水前寺邦博、島田美波、零崎人識、須藤晶穂、逢坂大河、テレサ・テスタロッサ 094 喧嘩番長 ◆MjBTB/MO3I 朝倉涼子、師匠、浅上藤乃 095 とある神について ◆olM0sKt.GA 古泉一樹 098 アミとトレイズ〈そして二人は、〉 ◆LxH6hCs9JU トレイズ、川嶋亜美 099 冷たい校舎 ◆olM0sKt.GA 姫路瑞希 100 リリアとソウスケ〈そして二人は、〉前編リリアとソウスケ〈そして二人は、〉後編 ◆UcWYhusQhw 浅羽直之、リリアーヌ・アイカシア・コラソン・ウィッティングトン・シュルツ、相良宗介 104 リアルかくれんぼ(前編)リアルかくれんぼ(後編) ◆ug.D6sVz5w 上条当麻、千鳥かなめ、ガウルン、如月左衛門、櫛枝実乃梨 午前 No. タイトル 作者 登場人物 084 What a Beautiful Hopesこの身汚し頷く強さと、いつも前を見つめたい弱さを ◆UcWYhusQhw 朝比奈みくる、土屋康太、キノ、吉井明久、薬師寺天膳 096 A new teacher and a new pupil ◆UcWYhusQhw 黒桐鮮花、クルツ・ウェーバー 097 「続・ネコの話」― Destroy it! ― ◆LxH6hCs9JU 白井黒子、ティー 101 「契約の話」 ― I m NO Liar ― ◆02i16H59NY キノ 102 スキルエンカウンター(上) 古泉一樹の挑戦スキルエンカウンター(下) 古泉一樹の挑戦 ◆LxH6hCs9JU 水前寺邦博、須藤晶穂、御坂美琴、シャナ、古泉一樹 103 必要の話―What is necessary?― ◆UcWYhusQhw トレイズ 105 国語――(酷誤) ◆LxH6hCs9JU 紫木一姫 106 愛憎起源 Certain Desire. ◆LxH6hCs9JU ステイル=マグヌス、白純里緒、零崎人識 107 告別/再見 ◆UcWYhusQhw 逢坂大河、ヴィルヘルミナ・カルメル、島田美波 108 最後の道 ◆ug.D6sVz5w 浅羽直之、伊里野加奈 110 BREAK IN (前編)BREAK IN (後編) ◆MjBTB/MO3I フリアグネ、トラヴァス、両儀式 111 あぶなげな三重奏~trio~ ◆UcWYhusQhw 上条当麻、川嶋亜美、姫路瑞希 113 死者・蘇生(使者・粗製) ◆02i16H59NY 涼宮ハルヒ、いーちゃん 115 CROSS†CHANNEL ◆UcWYhusQhw 坂井悠二、キョン、水前寺邦博、須藤晶穂、御坂美琴、シャナ 119 おそうじのじかん/ウサギとブルマと握られた拳 ◆02i16H59NY 上条当麻、川嶋亜美、姫路瑞希 121 競ってられない三者鼎立? ◆LxH6hCs9JU 千鳥かなめ、ガウルン、如月左衛門 昼 No. タイトル 作者 登場人物 109 献身的な子羊は強者の知識を守る ◆LxH6hCs9JU インデックス、テレサ・テスタロッサ 112 何処へ行くの、あの日 ◆MjBTB/MO3I 伊里野加奈 114 人殺しの話――(ひとごろし野放し) ◆EchanS1zhg キノ、零崎人識 116 「謀反が起きた国」― BATTLE ROYAL IXA ― ◆LxH6hCs9JU 朝倉涼子、師匠、浅上藤乃 117 そんなことだから。 ◆02i16H59NY 白井黒子、ティー、浅羽直之 118 群青――(Madonna) ◆EchanS1zhg 玖渚友 120 しばるセンス・オブ・ロス ◆LxH6hCs9JU リリアーヌ・アイカシア・コラソン・ウィッティングトン・シュルツ、相良宗介、フリアグネ、トラヴァス、両儀式 122 CROSS†POINT――(交錯点) 前編CROSS†POINT――(交錯点) 後編 ◆EchanS1zhg ヴィルヘルミナ・カルメル、逢坂大河、島田美波インデックス、テレサ・テスタロッサシャナ、須藤晶穂、キョン、御坂美琴トレイズ、師匠、朝倉涼子、浅上藤乃、古泉一樹 123 問答無用のリユニオン ◆LxH6hCs9JU 黒桐鮮花、クルツ・ウェーバー、白井黒子、ティー、浅羽直之、玖渚友 124 モザイクカケラ(前編)モザイクカケラ(後編) ◆02i16H59NY 千鳥かなめ、ガウルン、紫木一姫、如月左衛門 125 CROSS†POINT――(交換点) 前編CROSS†POINT――(交換点) 後編 ◆EchanS1zhg 坂井悠二、水前寺邦博、シズ 126 ふたりの護りたいという気持ち、ふたりの不安。 ◆UcWYhusQhw リリアーヌ・アイカシア・コラソン・ウィッティングトン・シュルツ、相良宗介 127 お・ん・なビースト~一匹チワワの川嶋さん~ ◆LxH6hCs9JU 川嶋亜美 128 オルタナティブ ◆UcWYhusQhw ステイル=マグヌス 129 Understanding――(離界シアター) ◆EchanS1zhg 涼宮ハルヒ、いーちゃん 130 街角にて ― Alternative ― ◆02i16H59NY シズ、伊里野加奈 131 “幻想殺し”と黙する姫【レイディ】 ◆LxH6hCs9JU 上条当麻、姫路瑞希 第二回放送 No. タイトル 作者 登場人物 132 第二回放送――(1日目正午) ◆EchanS1zhg 西東天
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入れ替わりデートで知る本音 御坂美琴、という1人の少女を象徴する小物って何だろう?「超電磁砲」の異名を支えるゲームセンターのコイン?かわいいもの大好きな彼女のお気に入り、カエルのストラップ?はたまた最近つけはじめた、可憐な花の髪飾り?今回は、ひょんなことから「短パン」というアイデンティティを喪失した彼女のお話。――――――――――――――――――――――――(黒子めぇぇぇっ!帰ったらタダじゃおかないんだからっ!!)御坂美琴は公共の道路上で1人スカートを押さえてもじもじしていた。彼女の周りには学校帰りの学生達が行き交っている。1日の学業から開放された彼らたちは、夕食までの時間を思い思いに過ごしていた。『お姉さまったら、いい加減に短パンは勘弁して欲しいですの。せっかくですので淑女らしい振る舞いをこの際身につけてくださいまし』詳しいやりとりは省略するが、彼女のルームメイト、白井黒子から短パンだけをテレポートされてしまったからだ。おまけにあの変態は、美琴の短パンを頭にかぶって、どこかに飛んでいってしまった。淑女らしい振る舞いなどとお前がいうな!と美琴は叫びたいところだったが、いかんせんスカートの下がスースーして調子が出ない。(あ、歩きにくいぃっ!)まるでロングスカートのドレスを履いているかのように、これまで通り歩けない。走るのはもちろん、蹴りをするなどとんでもない。黒子の思惑通り、確かに自分の行動を矯正するのに一定の効果があるようだ、と美琴は頭を抱えた。(とっ、とにかくこんなところを誰かに見られないうちに寮に戻らないと!特に知り合いに見られるのは絶対マズイ!)人通りの多い場所に長居するのは危険だ。多少大回りしてでも人気の少ない道を通って寮に戻ろう。願わくば何事も起きませんように。そんな彼女の切実な願いをあざ笑うかのように、美琴の後方から大型トラックが猛スピードで追い抜いていった。当然のように周囲には小規模の突風が吹き荒れる。念のために記しておくが、彼女は下着は履いている。柄は幸いなことに、子供向けのキャラクターものではなく、オーソドックスな純白であった。――――――――――――――――――――――――「補習が長引いたー。うだーっ」上条当麻は今日も今日とて、他の帰宅部の学生よりも遅い時間に学校から開放された。家に帰れば腹をすかせた居候シスターが待っている。(ゲーセンででも気分展開したいところだけど、残金は僅か。上条さん的には悩みどころなのですよ)よったらよったら歩く彼の視界前方に、見慣れた常盤台の制服の後姿が飛び込んだ。やたらときょろきょろ周りを探りながら、じりじりと歩を進めているその人物は、お嬢様というより不審者か。慎重に歩を進める彼女の背中に上条はすぐに追いつき、声をかけようとしたところでふと気づいた。(はて、これは美琴か?それとも御坂妹の方なのか?)目の前の少女は確かに彼の知り合いではあるのだが、見た目がまるっきり同じ少女がこの学園都市にはざっと10人はいるので、誰が誰やら判別がつかない。(ま、何とかなるか)いつも通りの楽観的な思考回路で3秒で結論を出し、呼びかけようとした絶妙なタイミングで、突然の突風が巻き上がった。――――――――――――――――――――――――御坂美琴は風で舞い上がるスカートを必死になって押さえ込んだ。前は隠せたが、後ろはまずいことになった!と脳内プチパニックになったところで、「え、えーと、上条さん的にはここはスルーした方がいいのでしょうか?……おっすー今帰りか?こんなところでなにやってんの?」今もっとも顔をあわせたくない人物の声が背後から聞こえてきた。なんとも能天気な口調が美琴の逆鱗を静かに逆なでする。「……見た?」美琴は後ろを振り返らず、バチバチと青い火花を放電しながら、平坦な声を返す。妙にドスのきいた声に、道端でえさを探していた小鳥が『やべーよ今なんかバチっとしませんでした?!』と言わんばかりにびっくりして飛び去っていった。「うっ、いやチラッとしか!ほんの一瞬しか!大丈夫、問題ねーよすぐ忘れるから!だからその心臓に悪いスパーク音はやめってってば御坂妹!!」……御坂妹?と美琴は怪訝に思いながらも感情の抜けきった冷たい視線で振り返り、怯える少年をねめまわした。こいつ下着を見た挙句に、私をシスターズと勘違いしやがった。どう折檻してくれようか。「アンタね、私は……」といいかけたところで美琴は口をつぐんだ。ぴぴぴん、と学園都市第3位のハイスペックな脳内を電気信号が駆け巡り、猛烈な勢いで思考を開始する。(いや待て、そもそもコイツは何で私をあの子と勘違いした?8月15日に会ったあの子は短パンを履いていなかったけど、まさかあのバカ、あの子達のス、スカートを覗いたことがあるんじゃないでしょうね?!こっ殺す!い、いやいやそれは流石にやりすぎよ。そもそもコイツが積極的に変態行為に走った証拠は無いし何らかの不可抗力だったのかも……。それよりもうわぁやばい!見られたー!よりにもよってこのバカに見られた!?くっ……やっぱ八つ裂き決定ね!!……いやいや待て待て、コイツは今私をあの子と勘違いしているわけよね。このままうまく誤魔化して今ここにいるのは御坂美琴とは別人ですよーってことにしちゃえばノーカウント!問題ないんじゃないかしら!?)わずか0.1秒の超高速・高精度な情報処理を完了させ、口元をヒクヒクさせながら美琴は上条に結論を告げる。「あ、アンタはぁ、一瞬だろうが何だろうがこの私のスカートを覗きやがったのか!!…………ってとりあえず、み、御坂は叫んでみます」 ――――――――――――――――――――――――「軍用ゴーグルが無いと、ほんと美琴と区別つかないよなー」結局、目の前の少女はシスターズの1人だと勝手に思い込んだ少年は、美琴と並んで繁華街を歩いていた。放課後の時間を満喫する学生達の間を縫いながら、特にどこへと行くあてもなく歩を進める。(そういや、さっきからずっと黙っているけど、こいつらこんなに無口だったっけ?)上条の疑問ももっともだが、美琴はうっかりボロが出る事を危惧して、珍しく普段よりも口数をおさえていた。『なんというか、この妹さんってば口調がちょっと違うよな』との独り言が聞こえてしまったことも後押しした。「やっぱり見分けをつき易くするための小物が欲しいところだよな。そういえば、お前らっていつも何して過ごしてるんだ?」上条の素朴な疑問に美琴はギクリと肩をこわばらせた。学園都市に残ったシスターズが、どこで何をしているのか、美琴は詳しいことを知らなかった。どうごまかそうかとあせって逡巡する彼女を違う意味で解釈したのか、上条は慌てて、「いや!言いづらいことなら無理に言わなくていいから!そりゃそうだよな。まだほいほい自由に歩きまわれる状況じゃないのはなんとなくわかってるから」勝手に結論付けてしまった。再び2人の間に沈黙が落ちる。仕方が無いこととはいえ、見た目14歳の年頃の少女が社会の輪から隔絶された環境で、日がな1日過ごすのはどうかと上条は思う。が、シスターズの遺伝子上の元となった御坂美琴は、知る人ぞ知る有名人だ。うかつにあちこち連れまわす行動は彼女に迷惑をかけるかもしれない、と上条はジレンマに陥った。(でもまぁ、その時はその時か。)1人で表情をくるくる変える自分を不思議そうに見つめる隣の少女に、上条は心配ないと微笑んだ。――――――――――――――――――――――――自分に向けられた少年の無邪気な笑顔を見て、美琴は急に胸を締め上げられた気がした。(というか、なんでコイツはあの子達に対してこんなに優しいわけ!?私に対する扱いと全然違うじゃない!)隣の少年の振る舞いは、世間の一般常識に欠けるシスターズを気遣ってのことだろうとは美琴にだってなんとなく分かるのだが、理解は出来ても納得できない。「ここらで学生らしい楽しみ方をエンジョイできる場所っつーと……うーん」周りをきょろきょろと見渡していた上条は、ふとある方向に指を向けた。「お、あそこのゲーセンによって行かないか?」(よりによって女の子をゲーセンに誘うんかこいつは!)心の中でツッコミつつも、なんだかんだで断れない美琴は不承不承うなずいた。「よっしゃ、それなら早く行くぞ!」放っておくとこの少女はいつまでも同じ場所に立ち尽くしていそうな気がした上条は、手をとって走り出す。「え?ちょっと?!」美琴は抗議の声が喉まででかかるも、いつものように言い返すことは出来なかった。自分の手を引く少年が、美琴がこれまで見たことがない満面の笑みを浮かべていたから。(そっ、そんな訳ないから!なんでコイツの緩んだ顔で動揺しなきゃいけない訳!?)こんなにも調子が狂うのは、ひるがえるスカートが気になるからだと美琴は無理やり自分を納得させた。――――――――――――――――――――――――上条に手を引かれながら美琴が連れてこられたのは、学園都市外部の技術で開発された篤体が揃ったゲームセンターであった。店内の隅に設置された小さなプリクラコーナーでは、セーラー服を着た女子生徒たちがわいわい盛り上がっている。上条は店内の中央にある、一種のクレーンゲームの前で足を止めると、振り返ってガラスケースの中の景品を指差した。「ほらこのストラップなんかどうだ?アクセサリー代わりに持ってれば見分けがつきやすいかも……ってなんですかその露骨に嫌そうな顔は?!」超機動少女カナミンのストラップのセンスはそりゃないわー、と美琴は上条をにらみつつ、隣のクレーンゲームを指差した。色とりどりの動物のぬいぐるみたちが、つぶらな瞳でひしめき合っている。むぅぅぅ~っとかわいらしく唸りながら、美琴は上条をぐいぐいと引きずった。「いやぬいぐるみって、それじゃ身につけられないだろ?っておいおい引っ張るなって!こっちがいいのかよ?!お前ら本当こういうの好きですね!分かったからガラスに俺を押し付けるのをやめてくださいっての!」――――――――――――「うおあぁぁーっ!?また落ちたーっ!うだーっ!!」先ほどからこの少年は持ち前の不幸さを発揮して、後一歩の所で景品を手に入れることに失敗し続けていた。店内を走り回る子供がぶつかって操作をミスるのは序の口で、アームのスプリングが突然はじけ飛んだ時にはさすがの美琴も唖然とした。何度もケースを開けて調整を繰り返す店員の顔があきれ返っているように見えるのは見間違いでは無いだろう。実は美琴の電気を操る能力を使えば、この手のクレーンゲームなど簡単に攻略できるのだが、美琴の頭からはそのような思考はさっぱりと抜け落ちていた。「な、なぁ。やっぱり俺がやるよりお前がやった方がいいんじゃないのか?ずっと見ているだけじゃつまらないだろ?」どんよりとしたオーラをまとって上条は何度も同じことを尋ねてくるが、そのたびに美琴は黙って首を横に振り続けている。少年のクレーンゲームを操作するタイミングは決して悪くないのだが、絶望的なまでの運の悪さに悪戦苦闘していた。それでも美琴は信じていた。美琴が絶対に不可能と信じていた絶望を、右手1つで打ち砕いたかつての出来事に比べれば、この少年はこの程度のゲームなどきっと乗り越えてくれるに違いないと。――――――――――――ようやく出てきた景品は、水色の子豚のぬいぐるみだった。ずいぶんと憔悴しきった上条から手渡された、初めてのプレゼントをまじまじと眺めると、美琴は両手でぎゅっと抱きしめた。上条は、無言で微笑みながらぬいぐるみを胸に抱く少女を苦笑しながら見守っていたが、やがてすまなそうな顔でおずおずと切り出した。「悪い、上条さんのお財布はすっかり軽くなっちまった。最後に何か遊びたいのあるか?あと1つくらいなら何とかなるからさ」なんとも甲斐性の無い台詞であるが、今回ばかりは美琴はこの少年に腹など立てる気など起こらなかった。その一方で美琴の中では、この少年が誰かに渡すものを全て自分が独占したい衝動が湧き上がっていた。すでに大切なものをもらったばかりなのに。もう十分満足したっていいはずなのに。今日の最後にもう1つだけこの少年から何かをもらえるのなら、いつまでも残る思い出が欲しいと美琴は願った。美琴は周りを見渡すと、黙って店内の隅に置かれたコーナーを指差した。 ――――――――――――――――――――――――ゲームセンターから連れ立って外に出ると、いつしか空は赤くなっていた。美琴は上条からプレゼントされたぬいぐるみと、今しがた撮影したばかりのプリクラを眺めている。前を見て歩かないと危ないぞ、との上条の声も耳に入っていない。彼女の手元のプリクラには少年と、少年の腕にしっかりと抱きつく少女のツーショットが並んでいる。それを眺めていると、美琴は自然とほほが緩むのを抑えることが出来なかった。プリクラの中の少年は、若干ぶっきらぼうながらも優しい顔で笑っている。今だってきっと同じ顔をしているに違いない。見なくてもわかる。でもこの少年の笑顔は、御坂美琴という少女に向けられたものではない。それが何だか、すごく納得できない。シスターズのふりをすることは自分で選んだことなのに。この少年と並んで、2人だけの時間を過ごしたことなら何度もある。海原光貴が発端となった偽装デートに、ゲコ太ストラップを理由にした罰ゲーム。今回はシスターズを装って、この少年の隣にいる。いったいどうしてこの少年と向き合うのに、こんなに遠まわしなやり方しかできないのだろうと美琴は眉をひそめる。今まで自分はいつだって一直線に突っ走ってきたはずなのに。――――――――――――夕焼けに照らされて2本の長い影が並んで伸びている。いや、2本というのは語弊があるかもしれない。美琴は少年の手を握っていたから、影は2つで1つだった。美琴は右手でぬいぐるみを胸に抱き、左手で上条の手を指先だけでつまむようにつないでいた。上条はいつの間にか2人分の学生かばんを、さりげなく左手に担いでいる。(何も言わずになんなのよそれ。キザったらしいくせに天然でやってるんだから始末におえないわよ)隣に並んで歩く少年の横顔を、こっそりと盗み見る。思えばこの少年は、いつだって誰かのために動いてきた。それは割に合わないことばかりだったはずだ。何の得にもならない、むしろ損をしてばっかりじゃないか。もしかしたら先ほどゲームセンターで美琴のために使ったお金だって、美琴にとっては微々たる物だが少年にとっては食事代に当てるお金だったのかもしれない、と遅まきながら懸念する。今まで浮かれていた気分が、急速に冷静な思考を取り戻していく。(なんでアンタはそれで笑っていられるのよ……)少年が自分に向ける笑顔を見て、美琴は何故だかいたたまれない気持ちになった。少年が話しかけてくる会話の内容が上手く理解できない。何故だかわからないが、胸が苦しい。加えて彼の笑顔が、本来の自分に向けられたものではないのが、何故だかたまらなく悔しい。問わずにはいられなかった。この少年が自分を御坂美琴と認識していない今なら訊けると思う。「あ、アンタは……美琴お姉さまの事をどう思っていますか?……と御坂は問いかけます」振りしぼるような声だと自分でも思う。え?と今の今まで沈黙を続けていた少女から突然飛び出た質問に、数秒ほど目を白黒させつつも上条は正面から彼女の問いにこたえる。「うーん、そうだな。とりあえずわがままだし、すぐキレるし、人の話は聞かねーし。自販機に蹴りを入れるわ、殺意マンマンで電撃を飛ばしてくるわ。おまけに人がテンパってるときに恋人ごっこなんて無理難題を押し付けてくるし。あいつって全然お嬢様っぽく無いんだよな」こいつは普段こんな風に自分を見ていたのか!!と美琴が内心で上条をギッタンギッタンのまっ黒こげにしていたのだが、「まあ俺がどう思おうが、あいつは俺を嫌っているみたいだけどな」どこか僅かにさびしそうな言葉に、美琴は心臓が止まるかと思った。いったい以前の俺は何をやらかしたんだろうな、との独り言は美琴の耳に届かない。ちょっとまて。嫌っている?自分が?この少年を?そう思われているのは美琴にとって大きなショックだった。そんなはずはない。そんなはずはないのだ。この少年は自分には一銭の得にもなりはしないのに、命を懸けて自分と1万人の少女達を救ってくれた。嫌いになんかなるはずが無い。むしろ……とそこまで考えて、無意識のうちに思考を即座に切り替えた。これは誤解を解かなきゃまずい。何故だかわからないが、とにかくこれはまずい。「き、嫌ってなんか……いや嫌われてなどないって、御坂は主張するわよ!」「ん……?お前がそういうのなら、きっとそうなのかな」どこかほっとしたような息をはく少年を横目に、美琴は考え込んでしまう。思い返してみるがいい。自分はこの少年に、今までいったい何をしてきたか。事あるごとに、駄々をこねる子供のように突っかかり、電撃をあびせ、あまつさえ本気で命を奪おうとしたではないか。その後も少年の都合などお構い無しに振り回していた覚えもある。もしかしたら、相手が嫌がることしかしていないのかもしれない。そんな人間に、いったい誰が好意を持つというのか?この少年があの夜、自分の命を救ってくれたのだって、実はシスターズがメインであって、自分はあくまでオマケだったのかもしれない。そこまで考えてしまうと、何故だか無性に悲しくなった。じわりと視界が滲み出し、胸をかきむしりたくなる。無意識のうちに彼を握る手にきゅっと力が入った。再び黙り込んでうつむいてしまった少女を、上条は不思議そうに見つめているが、彼女は気づかない。でもな、と少年はどこか照れくさそうな声で、頭をボリボリかきながら前を見て言葉を続けた。「さっきはああは言ったけど。あいつと一緒にいるのは別に嫌ってわけじゃないんだよ。あいつはいつだって底抜けに明るくて、人懐っこい奴で。なんだかんだで困った奴を見れば放って置けないお人よしだし。この前だって何時間も宿題を手伝ってくれたしな。やっぱりあいつと一緒に歩く帰り道は楽しくて、ずっと過ごし続けたい時間だったんだと思う」徐々に夕闇に染まる空のように沈みかけていた自分の心に、確かな光がともった気がした。少年は少女の手を、力強く握り返す。「それに何より……守るって誓ったから。嫌いになんかなるわけねーよ」どうして自分はこの少年の言葉に一喜一憂しているのだろうか。この少年に守られ続ける。レベル5の自分がレベル0なんかに、なんてプライドの壁などもはや何の意味もなく染み込んでくる言葉。それはなんて温かくて心地よい誓いなのだろうか。でも。「それは……、誰かに頼まれたから?」びっくりした顔で少年は隣を振り返った。その顔には隠しごとがばれたかも、と危惧する子供のような焦りが浮かんでいる。「う……そうじゃないって言ったら嘘になっちまうけど、別にそれだけじゃなくてだな」あたふたと言うと、少年は周りをきょろきょろと見渡し、誰もいないのを確認した上で、さらに少女の耳元に口をよせてささやいた。「……美琴には秘密だからな?」こっそりと、まるで大切な宝物の秘密の隠し場所を友人に教えるような真剣さで、上条当麻は言葉をつむいだ。――――――――――――――――――――――――燃えるような夕焼け空はいつの間にか夕暮れに変わり、空は海の底のように深い群青の色で世界を覆おうとしていた。いつの間にか、外を出歩いている学生は美琴と上条だけになっている。そろそろ夕食の時間だろう。気をつけて帰れよー?あ、1人で帰れるか?途中まで送ろうか?どこまでもおせっかいでお人よしの少年にやっとのことで、大丈夫、と一言だけ告げて美琴は少年と別れた。またなーと手を振りながら去っていく少年を、その場でぽけーっと見送る。胸に抱えたぬいぐるみを、きゅっと抱きしめる。周りに誰もいない事を確認してから、美琴はぷはぁ、と息を吐いた。先ほどから激しい鼓動は収まらず、下手をしたら不整脈まで出そうかもしれない。ううぅ~っ!と耳まで真っ赤にして顔をブンブンとふる。照れくさいような、むずがゆいような、まったくもって落ち着かないくせに、決して不愉快というわけではない。どちらかというと歓喜に近い気持ちが、必死に手綱を握っていないと自分の内側から爆発しそうになる。(なんなのよ、これ~!あ、あのバカのせいで、まったくもう……)彼女を揺さぶる原因は、少年の口からささやかれた本音。それは確かに、御坂美琴という少女に向けられたものだった。いつしか足元から伸びていた長い影法師は闇に溶け込んでいた。道端に並ぶ街灯の群れが、美琴をスポットライトのように照らし始める。足元に自分の影が何本も浮かび上がっても、少女はいつまでも同じ場所で立ち尽くしていた。――――――――――――――――――――――――翌朝。本日は土曜日で午前中も授業はなく、上条当麻は1週間ほったらかされてむくれているインデックスを連れ、街に繰り出していた。近所のスーパーに、午前中限定のセール目当てで買い物に行くだけなのに、やたらと上機嫌な白い修道服の少女はふと何かに気づいて声を上げた。「あ、ねえとうま。あそこにいるのって短髪かも。隣にいる女も地下世界で会ったよね?」ん?とインデックスの指差す方に、上条が片側2車線の道路の向かい側の歩道に目をやると、確かに見知った常盤台の制服が2つ、目についた。白井黒子の隣に並んでどつきあいながら騒がしく歩く少女は、紛れもなく彼が良く知る御坂美琴その人であった。白井は美琴が胸に抱えているものを見ながらあきれて愚痴をこぼし、美琴は美琴で真っ赤な顔でムキになっている風に上条には見えた。距離は遠く、雑踏にまぎれていては声は届かないだろう。それでもこのまま声をかけずに去るのも、なんだか惜しい気がする上条だったが、「ほらーっ、短髪なんか放っておいて早く行こうよ、とうまぁー!」なぜか、むーっとしだしたインデックスが、上条の腕をとってぐいぐい引っ張りながら歩き出す。2人の少女は上条達には気づくことなく、人ごみの中に姿を消えていった。インデックスに腕を引っ張られつつも、上条は首をかしげる。美琴が抱えてたぬいぐるみ、なんであいつは昨日のアレと同じのを持ってるんだ?? END
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前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/秋終わり、恋は終わり始まる 第四章 この物語にヒロインは居ない 「見つけた」 帰宅途中の上条を襲ったのはロボットの様に大きい『駆動鎧』だった。 手腕部分にはシェルブレイダーという金属を切断する為の熱伝導装置が取り付けられていて、コンクリートは貫通していた。 「テメェが上条当麻か」 「……誰だ!」 「あたしはテレスティーナ=木原=ライフライン。ったくよぉ、折角御坂美琴とお前を相打ちにさせようと思ったのによ。 レイヴィニア=バードウェイとかいうガキのせいで超電磁砲とテメェはあの鉄橋で目出たく再会……。 アレが魔術って奴か?なかなか意味不明だったわ。ま、あたしとしては超電磁砲を殺せばいいわけだけど今どこに居る?」 音声拡大装置で辺りにテレスティーナの声が響いた。 喋らないと殺すっていうのはお決まりのパターンか。 上条はギリッと音をたてて、歯ぎしりして。そして上条は駆動鎧の頭部部分を目上げて言った。 「言うわけないだろ!」 「そうか、死ね」 一瞬だった。ガトリングガンが駆動鎧の腹部から飛び出して上条目掛けて数百の特殊銃弾が発射される。 特殊銃弾は上条に届く前に空中に浮遊し、そして駆動鎧へ戻っていく。 火花を散らし、駆動鎧はホバーで少し浮いた状態で後退する。 「な、なんで来たんだ!?」 「うっさいわねぇ、私は超能力者よ?超電磁砲、舐めんじゃないわよ」 御坂美琴。先ほどの銃弾は磁力によって操作していた。 熱伝導装置と移動によって起こる振動によって崩壊した建物の破片を踏みつけて御坂はコインをポケットから取り出す。 そして、指先で弾いて――親指で彼女の代名詞。『レールガン』を撃ち込んだ。 音速の三倍で移動するコインはいとも簡単に駆動鎧の右手部分を吹き飛ばした。 「会いたかったわよ、超電磁砲ッ!」 「……この一ヶ月は返してもらうわよ。当麻と過ごしたハズの一ヶ月をね!!」 砂鉄が空中に浮いた。 「砂鉄の弾ってかァ!?そんなモンこの駆動鎧に通じると思ってんのか!?」 「アンタはねぇ、私を舐めすぎ」 砂鉄の弾は帯電し、そしてコインを飛ばす要領で数十の砂鉄の弾を駆動鎧のボディへぶつけた。 コインを飛ばした程の威力はないが、穴を開けるくらいのことなら出来る。 それを数十と繰り返せば駆動鎧のボディは機能しなくなるはずだ。 ガガガガガガガガ!!!と轟音が鳴り響くと無数の砂鉄の弾とその余波でボディを削り取っていく。 「あめぇぞ!」 テレスティーナはそう叫ぶと上条へ再びガトリングガンを向けた。 「しまった!間に合わない!」 御坂は磁力を最大にし、銃弾を止めようとするも。遅かった。 上条は立ち上がるが、テレスティーナのガトリングガンから逃げれるハズも無かった。 しかし、銃弾は全て溶かされ、そして駆動鎧は吹き飛んだ。胴体部分は何かによって貫通し、そして中の電源部分が露出していた。 その隙を逃さず、何かは左手、右足と次々大きい風穴を開けていく。 「……上条当麻ァ。期待はずれって言いたいんけど」 「麦野……何してるんですか。手加減なんてらしくないマネを」 麦野沈利。第四位のレベル5で過去に御坂と戦ったことがある。 原子崩しという電子を波形や粒子に変えずに放出する能力で、破壊性の麦野は毎回レールガン並の威力を誇っている。 まさに『矛』と言わざるを得ない存在。 「だ、第四位ィィィッッ!!!!」 「うるさい、黙ってろオバサン」 「……皆殺しだ、死ねやァァァ!!!」 テレスティーナは頭部からロケットの様に発射され、駆動鎧はグニャンと胴体部分を歪めてから辺りを吹き飛ばした。 核兵器に近い。実際は原子核など使っていないが、それぐらいの威力があるという事だ。 学園都市は海に面していないのに加え、夏にはヒートアイランド現象になりやすいので全ての建物に耐熱性の鉄が埋め込まれている。 しかし、それさえも熱で溶かし、辺り数百メートルを吹き飛ばした。 「……つっ……」 ゴォォォ、と廃墟と化した辺り一帯はうなり風が鳴り響いていた。 上条当麻はビルの瓦礫の間からうめき声をあげた。 しかし、あれだけの爆発があって何故上条は少しの怪我しかしていないのか。 砂鉄。上条の体には砂鉄が付着しており、砂鉄が守って入れたらしい。 「……御坂!?」 足の感覚が薄い。 おまけにあんまり食べていないのが祟ったのかフラフラになっていた。 腕だけ飛び出している常盤台の制服がチラリと見えた。遠くの方で悲鳴や泣き声が聴こえてくるが上条の耳には入ってこない。 数十キロの瓦礫を必死に持ち上げ、御坂美琴を引き上げる。 「……ッ!」 血塗れというか、彼女の左手がグチャリと潰れていた。 意識は無く、瀕死の状態と言えた。 上条を守るために砂鉄を使い、そして……。 「ざまぁねぇな!超電磁砲!」 「テレスティーナ=木原=ライフライン……!」 「痛いか?痛いだろうね。心とやらもなァ」 「……黙れ」 「は?なんだって?」 「黙れっつってんだよ!クソ三下が!」 上条は御坂を抱えて病院へ連れて行こうとした、が。 人一人分の重さを抱える足なんてのはもう無い。 絶望に頭が支配された時だった。笑い声が空から聞こえてきた。 「上条ちゃん?そんな程度か?そこの三下女に女も自分も街もやられてんのに。虚勢を張る事しか出来ないのか?」 「……ト、トールっ」 「おい、誰が三下だ」 テレスティーナが言った瞬間、彼女の腕はスパッと斬れて腕は血と共に空中を舞った。 靴の音を立てて着地したトールは言った。 「いや、お前は三下だよ。ミコっちゃんを殺すために上条当麻と相打ちさせるなんて。そんなつまんねぇ勝負しか出来ないお前は三下根性しかないなぁ」 「ああああぁぁぁああああっ!!!て、テメェに何がわかるんだ糞ガキ!!」 「俺のライバルはこんなに偉大な精神を持ってるのによぉ」 上条当麻の事を言った。トールにとって上条当麻は数少ない『同じ戦い』を繰り広げられるライバルだ。 そして、その上条の彼女としている御坂美琴。 同じ電撃系の力を持って、そして共闘したことがある友人未満の関係。 助けない理由にはならない。 「トール……」 「病院に連れて行け。ミコっちゃんを助けろよ?上条ちゃん」 「ああ、ッ……」 足を引きずりながらそれ程近くない病院へ向かっていく。 「ふぅ、痛いなぁ」 「窒素装甲も殆ど意味を為しませんでしたよ」 少し出血している程度の怪我しか負っていない二人は右腕が無いテレスティーナを睨みつけた。 「爆発受けてないのか」 「大気圏近くまで飛んだら、あの程度の爆発くらい凌げるだろ」 「ああそう。で?お前は誰?」 「雷神トール。……あの三下はどうする」 「……殺すか。生きてる価値ないからね」 「同感です。ったく映画館が潰れえてたらどうしましょう」 「クソ……御坂。まだ死ぬなよ……」 夕日が沈みかけていた。 夕焼けの日が学園都市のビルを照らして眩しかった。 コヒューとシュノーケルで呼吸した時の音のように細く、小さく、こもっていた。 ソレでも諦める訳にはいかない。例え、自分の足の感覚が無くなっていき、徐々に眠たくなって来ていたとしても。 「そこの方!どうしましたの?」 白井黒子がテレポートでやってくる。 そして上条の姿と抱えている御坂の姿を見て「ひっ」と少し怯えた。 「お姉様?ど、どういう事ですの、爆心地と寮は離れているハズですが……」 「来ちまったんだ。俺がテレスティーナ=木原=ライフラインが襲われてるって……」 「首謀者はテレスティーナ=木原=ライフラインでしたの!?あの女……。とにかくわたくしがお姉様を病院まで運びますの!あなたは警備員の救助隊を待っていてくださいまし!」 空気を裂く音がして、白井と御坂は消えた。 「……美琴」 いとしい彼女の名前を呟いて、彼は意識を手放した。 * 前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/秋終わり、恋は終わり始まる
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お互いの目の奥に光るのは既に憎しみや怒りなどといったものではない。 ただ相手を打倒し、己が上であると示すことに躍起になった子供のような自己顕示欲。 そう。言うなればこれは規模こそ違えど子供の喧嘩なのだ。 そして都城王土と一方通行は楽しそうに、心底楽しそうに吼えた。 「その意気や良しッッッ! 往くぞッッッ!!!!」 「上ッ等だコラァァァ! 来いよォォォォ!!!!」 魂を震わせて都城王土と一方通行が己をぶつけあわんと全力を込める。 最強の盾があるのならば、当然最強の矛もあるだろう。 果たして都城王土の拳が最強の矛なのかすらも判らない。 ましてやこれは矛盾であり、なればどちらが勝つかなど推測するのも意味が無い。 しかし、それでも確かなことが一つある。 この一撃が交差すれば、確実にどちらかが死ぬ。 それは絶対の事実であり、誰にも違えることのできない真実なのだ。 絶対致死、一撃必倒、絶対必殺の威力をもった都城王土の力。 接触致死、瞬間必倒、完全必殺の威力をもった一方通行の力。 それは、その力は、その喧嘩は。 「イヤだよ王土ッ! ボクを置き去りにして一体何を考えているのさっ!!」 「絶対ダメッー!ってミサカはミサカは涙で顔をグシャグシャにしながら貴方に訴える!!」 突如乱入してきた二つの小さな影に阻まれ、不発に終わった。 小さな身体である。 拳を握り締めた都城王土の前に立つ小さな影の名は行橋未造。 己の存在意義であり、己の生きる意味を教えてくれた男を止めるため。 両の手を広げた一方通行の前に立つ小さな影の名は打ち止め《ラストオーダー》。 己を救いあげ、己を見殺しにはしないと言ってくれた男を止めるため。 けれど。 その小さな手は。震える身体は。涙で潤んだその瞳は。 紅い双眸を持つ男達の喧嘩を中断するに充分な力を持っていたのだ。 「…行橋」 「…クソガキ」 ポツリとそう呟いて。 今にも破裂しそうなほどに膨らみ、張り詰めた風船がしぼむように男達の気迫が急速に薄れていった。 都城王土は問う。 「…どうやって目覚めたのだ?」 「えへ…えへへ… ボクは王土のことを一番判っているんだ。 催眠ガスを使われそうになったとき、手の中にこれを握りこんでいたのさ」 厚手の手袋を取り、その小さな掌を都城王土に見せつける行橋未造。 その手の上には鋭利に尖った鉄骨の欠片が自身の血に塗れて乗っていた。 「喜界島さんとの一戦を参考にしてね☆ 催眠ガスを克服するには古典的だけどやっぱり痛みが一番みたいだ☆」 一方通行は問う。 「…何で来やがった」 「何でも何も! あなたの代理演算を補っているのは私達なんだからね! あなたの身体に走った痛みという異常を感知してミサカはミサカは病院を抜けだしてきたの!」 よく見れば少女の服はシャワーを浴びたように汗で濡れ、ゼエゼエと荒い息は未だに収まってはいない。 そう、一方通行は都城王土の言葉に引きずられ顎を地面にぶつけた記憶がある。 ただそれだけで、一人夜道を走って一方通行をこの少女は探し回ったのだ。 都城王土と一方通行はどちらともなくフゥとちいさな息を吐いた。 「…おい一方通行《アクセラレータ》 おまえはどうするのだ?」 「…チッ まァ、確かにィ? もうそんな空気じゃあねェなァ…」 戦意を根元ごと引きぬかれたようなこの感覚。 それは自分だけではなく、目の前に立つ紅眼の男も感じているのだと思い紅眼の男は苦笑した。 こうなるとさっきまでの勢いが逆に気恥ずかしく紅眼の男達が静まりかえった中、小さな裁定者達はお互い勝手に自己紹介をはじめていた。 「ウチの一方通行が迷惑をかけてごめんなさいってミサカはミサカは真摯に謝ってみる」 「えへへ☆ 気にしなくてもいいよ。 王土だってきっと途中から楽しんでいたんだしね!」 「あ、それはウチの一方通行もきっと楽しんでいたとミサカはミサカは確信してる!」 「えへへ! まぁ判らなくもないかな? ボクらは自分に似た奴が好きすぎるんだからね☆」 「確かに似てるかも…ってミサカはミサカはこっそり横目で観察しながら同意したり!」 「あ、それとさ。 君、面白いね☆ ボクこんな人は初めて見たよ あ、でも王土ならもしかしてアクセスできるかもしれないなぁ…」 「ふえ? それっていったいどういうことなの?ってミサカはミサカは疑問を発してみる」 「えへへ☆ 秘密だよ☆」 可愛らしい声をあげて活発な情報交換を続ける二人を見て、金髪紅眼と白髪紅眼の男は静かに顔を見合わせる。 「…ハッ かったりィ… おらクソガキ! 帰ンぞ!」 これ以上この場の空気に耐え切れないと言わんばかりに声を張り上げたのは白髪紅眼の一方通行だった。 「ぶー!何それ何それ!せっかく心配してきたっていうのにその態度は何事?ってミサカはミサカは猛烈に抗議する!」 そう口では文句を言いながらも一方通行の隣に立つ打ち止めは朗らかな笑顔を浮かべていた。 あ、そう言えばプリンはプリンはー?とせがむ打ち止めが絶望する答えを口にしながらゆっくりと杖をついてその場を去ろうとする一方通行。 その時、都城王土の声がその背に静かにかかる。 「…おい、一方通行《アクセラレータ》」 「あン?」 そう言って振り向く一方通行に向かって都城王土がクイと顎で地面を指し示した。 「忘れ物だぞ?」 地面に転がってるのは缶コーヒーがつまったコンビニ袋。 だがそれを見て一方通行はハンと鼻をならす。 「…いらね どっかの馬鹿とやりあったおかげで充分目が覚めちまったンでなァ 欲しけりゃあくれてやンよ ってテメエ手握るンじゃあねェ!」 「まぁまぁ 気恥ずかしいのは分かるけど夜道は危ないんだからね?ってミサカはミサカは場合によっては言語能力を没収するといった選択肢をちらつかせながら強引に手を ひいてあげる」 ふざけんなァァァ!と憤慨しながらも逆らうことのできない一方通行は杖をつきながら少女に手を引かれて今度こそ振り返ること無く闇の中に消えていった。 残されたのは都城王土と行橋未造である。 と、未だ催眠ガスの残滓が残っているのか足元が覚束ない行橋未造の身体がフラリと揺れた。 それを見た都城王土が小さく溜息をつく。 「…行橋。 眠いのならば俺が背負ってやってもよいが?」 「わ! ホント? えへへ☆」 そう間延びした声で言うと子猫のように都城王土の背によじ登る行橋未造。 都城王土にとって行橋未造の体重など小鳥が止まっているような感触である。 故にそれ以上特に何も気にすることもなく、都城王土は路上に転がっているコンビニ袋を見ていた。 試しに背中にむかって声をかけてみるが。 「…行橋」 スッポリと背に収まって目を細めている行橋未造は彼が言わんとすることを察したのだろう。 「うーん… ボク苦いの嫌いだし」 そっけなくそう言うと眠気に襲われたのか、小さなあくびをして都城王土の背中の上で小さな寝息を立てだした。 「だろうな。 さて、これから修道女のところに行くのはさすがの俺でも面倒であるな。 なに、今日は充分楽しめたのだ」 そう言って行橋未造を起こさないように静かに都城王土が歩き出す。 「なに。 中々に面白い。 随分と刺激に満ちている街ではないか。 なぁ行橋?」 背でスヤスヤと眠っている行橋からの返事はないが、それでも都城王土は満足気に闇の中に姿を消した。 ■??? 中年の男が大声で問いかける。 「何故君達に能力があるのか! 何故君達にチカラがあるのか! 不思議に思わないのか!」 据えた煙草の匂いを振りまきながら[M000]というコードネームを持つ中年の男は大袈裟に両手を広げる。 「もしかしたらだ! 君達はチカラを持つ必要など無かったのかもしれない!」 静かにそれを聞いているのは10人近くの少年少女。 「この計画が達成すれば! この悲願にさえ到達すれば! 君達はその“憎らしいチカラ”に怯えなくてすむんだ!」 その台詞に自ら酔ったようにして[M000]は更に大声を張り上げる。 「そう! 君達は誰かを傷つけることに怯えなくてもいい!」 そう言って懐から一枚の写真を取り出した。 そこに映っているのは宇宙空間とおぼしき場所に浮かんでいる機械の破片。 「これだ! この[残骸《レムナント》]さえあれば! これさえ我等が手にすれば!」 そこまで言って[M000]は言葉を切ってグルリと部屋を見渡す。 そこには己を見つめる若く真っ直ぐで情熱的な視線。 ブルリと快感で背筋を震わせ、[M000]は続きの言葉を口にした。 「判るかね諸君! 君達の悩みは! 解決したも同然なのだ!!!」 少年少女たちの間に広がっていく羨望と感謝と熱意を肌で感じとり、[M000]は満足そうに頷いた。 「そしてだ! 君達は感謝しなければならない! この計画に無くてはならない“大能力者”!」 そう言って[M000]は机の隅に座っていた少女に向かって声をかける。 「[A001]! 君には期待している! 君も“普通”になりたいだろう? 我等と同じく“正常”になりたいのだろう?」 その言葉と同時に[A001]と呼ばれた少女が立ち上がり、頷いた。 それを見て、[M000]は感動したように大きな声を張り上げる。 「これは君がいなければ不可能な任務だ! 君と!私と!君達は! 共に等しく“仲間”なのだ!」 さざ波のように感動がその空間を支配していくのを感じながら[M000]は叫んだ。 「さぁ! 諸君! 時は来た! 今こそ奮起の時なのだ!」 その言葉と共に万雷の拍手が沸き起こる。 少年少女たちの中には涙ぐんでいるものまでいた。 そして、[A001]と呼ばれた少女は。 どのような障害があろうとも、任務を遂行しようと決意の光をその瞳に宿らせていた。 ■風紀委員第一七七支部 「[キャリーケース]の強盗事件…ですの?」 訝しげなその声の主は白井黒子。 「そうなんですよー。 犯人は地下に向かって逃走したみたいなんですけど… 何故か信号機の配電ミスが相次いで警備員《アンチスキル》は身動きがとれない状況らしいですー」 紅茶の本をデスクの横に置きながらそう初春飾利が答えた。 「はぁ… なんだかきな臭そうな匂いが漂ってきますのね…」 そう言われてパァッと初春飾利の顔が輝いた。 「あ! じゃあ紅茶でも淹れましょうか? いいにおいですよー! 美味しいですよー?」 はちきれんばかりの笑顔を浮かべる初春飾利だったが。 「…お断りですの。 なんで貴方は犯人ほっぽらかしてアフタヌーンティーに勤しもうと思えるんですの?」 付箋がいくつもついた紅茶の本をちらりと横目で見ながら白井黒子が呆れたようにそう告げた。 ガーン!とした顔をするのも束の間、すぐに気を取りなおした初春飾利が不思議そうな声を出す。 「うう、今度こそ100点のお茶を出せると思ってたのに… あ、でも白井さん? つまりそれって…」 恐る恐るそう問いを発する初春飾利に白井黒子は薄っぺらな鞄を持って出口に向かいつつこう言った。 「ええ。 今回はお邪魔な金髪の殿方もいらっしゃいませんし? 私一人ならば地下だろうがどこだろうが関係ありませんもの」 ■地下街出口・裏路地 「ふぅ…どうってことはありませんわね」 パンパンと埃を払いながらそう白井黒子が呟いた。 地面には黒いスーツに身を包んだ男が10人近く倒れている。 今更言うまでもないだろうが、白井黒子の能力は『空間移動《テレポート》』である。 点と点をつなぐ慣性を無視した三次元の軌道だけでも脅威だというのに。 更にああ見えて有事では頼りになる初春飾利のナビゲーションをもってすればキャリーケースを抱えて逃げようとする強盗犯を補足することなど朝飯前だった。 (ま、朝飯前というか午後の紅茶前といったほうが正しいのかもしれませんが?) そう心中で呟きながら白井黒子はこちらに向かっているという警備員《アンチスキル》を手持ち無沙汰のまま待っていた。 如何に『空間移動《テレポート》』を使えるといえど、こうまで人数が多いと動くことは出来ない。 この場を離れれば、意識を取り戻したスーツの男達が逃げ出すかもしれないのだ。 . (そういえば…最近随分とお姉さまがそっけないですの…いったいどうなさったんでしょう…) そんなことをぼんやりと考えていた時である。 突如肩口に突き刺さったのは鋭い痛み。 更には自らが浮遊している感覚が白井黒子を襲う。 「ッ!?」 完全に油断していたこともあり、受身も取ることが出来ずにペチャン!と痛々しい音を立てて白井黒子が仰向けに倒れた。 肩に刺さり、激痛の元であると主張しているのはワイン抜きだった。 「…これは…随分と趣味の悪い成金みたいですわね」 そう毒づきながらゆっくりと白井黒子が起き上がる。 そこには。 クスクスと笑う少女が[キャリーケース]に座っていた。 肩にかかった赤毛を鬱陶しそうに背中に払いながら。 「初めまして。 風紀委員《ジャッジメント》の白井黒子さん」 本来は年相応の可愛らしい声だろうが、今は随分と意地の悪そうな声がそう言った。 ■長点上機学園・放課後 「…すまないけども。 もう一度言ってくれないかしら?」 呆然とした口調でウェーブ髪の少女が今聴いたことの内容の確認を求める。 「うんいいよ! えーっとね、昨日の夜ね、王土とイッポーツーコーって人が戦闘《バトル》したんだ☆」 「……」 ハキハキと元気よく面白そうにそう答えた小柄な同級生の言葉を聞いて、布束砥信は今度こそ幻聴の類ではないのだということを理解した。 「suppose 勘違いとかその辺のスキルアウトっていうわけでは…無いようね…」 この小さな同級生が嘘を言っているとは思えない。 だが、信じられるだろうか? 一方通行。 それは学園都市最強の超能力者であり、“妹達”を一万人も殺した実験計画の中心人物であるのだ。 そのような男と都城王土が相対して戦闘をした? それならば当然の帰結としてあそこの席、都城王土の席には不在の主を慰めるように白い花瓶が鎮座していなければならない筈なのだが。 その席には金髪紅眼の男が退屈そうに腕組みをしていた。 「thought 何を考えているか判らないだなんて、初めて見た時から理解はしていたつもりだけど…まさかここまでとはね」 どこぞのホラービデオに出てくる幽霊のようにバサリと前髪を顔の前に垂らしてそう布束砥信が呟いた。 その時、布束砥信の机の側に立っていた行橋未造に都城王土の声がかかる。 「さて行橋よ。 そろそろ日も暮れてきたところだ。 今日こそ俺の寛大さをあの修道女達に示してやらんとな」 尊大にそう言って笑う都城王土の元にトテトテと行橋未造が駆け寄っていく。 「えへへ! そうだったね! ボクもう忘れちゃいそうだったよ☆」 仔犬のようにまとわりつく行橋に向かって鷹揚に都城王土が笑う。 「おいおい まったく仕方のない奴だなおまえは」 「えへへ☆ そう言うなよ王土! なにせボクは王土に付き従うんだから、王土が要らないと決めたことをいちいち進言するはずないじゃないか☆」 そう言ってピョンと両足を揃えて行橋未造が布束砥信に振り返った。 「それじゃ布束さん! また明日ねー!」 「え、ええ… よい放課後を…」 そう言ってプラプラと力なく手を振る布束砥信に向かって、何かを思い出したように都城王土も振り返った。 「む、そうだ布束よ。 おまえの案内、悪くはなかったぞ」 「え? あ、ええ… それは良かったわ…」 そうぎごちなく答えることしかできなかった布束砥信だが、その返答で満足したのだろう。 うむ、と頷いて都城王土は行橋未造を引き連れて長点上機学園を後にした。 彼等が向かう先。 それはツンツン頭の少年と銀髪シスターの元である。 先日、彼等と接触したときにぶちまけたコロッケの代わりとなるであろう“ソレ”を持って都城王土と行橋未造は学園都市を歩く。 もちろん、彼等の住所はとっくに行橋未造が端末から“聞き出している” 一人教室に残っているのは布束砥信。 もはや布束砥信にとって彼等は核弾頭のスイッチにも等しい存在である。 彼等が動けば面倒な事件が巻き起こる気がしてならない。 「naturally 出来るならば私は無関係でいたいのだけれど…」 だが、布束砥信のその儚い願いは叶えられることがなく。 その小さな希望は数時間後には容易く打ち破られる。 [残骸]とよばれる物を中心として、都城王土、上条当麻、一方通行、御坂美琴という4人少年少女達がが巻き起こす事件に布束砥信も巻き込まれることとなるのだ。 ■常盤台中学学生寮・御坂美琴と白井黒子の部屋・バスルーム カチャンという乾いた音が響き、そして噛み殺しきれなかった悲鳴が白井黒子の口から漏れる。 「あ…グッ…!?」 ひどく弱々しい声と共に大量の血液がバスルームの床を伝い排水口に流れていった。 (っ… まさかここまでとは… 完敗ですわ…) 先程の音の正体はワイン抜きや黒子の持ち物である鉄矢が硬質タイルの上に落ちたときの音。 それは裏路地で対峙した赤毛の少女に笑みをもって己の身体に打ち込まれたということ。 そう、彼女もまた移動系の能力を持っていた。 いわば同族との戦闘は、一方的に。 白井黒子の身体にのみ夥しい傷と出血を残して幕を閉じた。 雑菌が入らないよう身につけていた服は全て能力で排除した。 そして今、白井黒子はその白く細い身体を血に濡らし痛みに悶えていた。 右肩、左脇腹、右太もも、右ふくらはぎ。 (唯一の救いは鉄矢やコルク抜きといったところでしょうか…) 出血は未だ続いており、その幼くも艶めかしい身体を熱い血が汚しているにも関わらず、ふと白井黒子はそう思う。 傷は深いが、それでも傷の面積に限って言えば非常に小さい。 時間が経って傷がふさがればそれほど目立ちはしないだろう。 白井黒子は中学生という若き身でありながらそんな悲しいことを当たり前のように考えてしまう。 . (…けれど。 今はそんな事はどうでもいいんですの) 痛みと熱に浮かされながらも少女はゆっくりと立ち上がる。 たったそれだけの動作で新たに鮮血吹き出して白井黒子の身体を濡らした。 薄い胸をゆっくりと伝い、細く引き締まったウエストを滑り、太股の内側を通ってタイルにポタリと音を立てる。 だけれども。今の白井黒子はそんな事は気にしていられない。 今、彼女の脳裏をグルグルと駆け巡るのは赤毛の少女がペラペラと口した言葉である。 【[レムナント]って言っても判らないわよね? [樹形図の設計者《ツリーダイアグラム》]と言えばさすがに判るでしょう?】 【そうよ。 壊れて尚、莫大な可能性を秘めたスーパーコンピュータの演算中枢】 【あらあら。蚊帳の外って顔ね? 『御坂美琴』があんなに必死になっていたというのに】 【ふぅん… そう『御坂美琴』は貴方に何も言ってないの。 噂通り理想論者で甘い考えをしてるみたいね】 本来なら。 このような事態になった以上、風紀委員《ジャッジメント》の出る幕はない。 素直に大人に、警備員《アンチスキル》に任せるべき話だ。 だが。 “あの人”の名を聞いてしまった以上、そういうわけにはいかないのだ。 . “御坂美琴” そう。 確かに、あの赤毛の少女はその名を口にしたのだ。 ならば、ここで自分勝手に痛がって悶えている場合ではない。 白井黒子はここ最近、御坂美琴がやけに気落ちしているのに気が付いていた。 だというのに、それ以上追求をしようとはしなかった。 いくらなんでもプライバシーにまで踏み込むつもりは無いと勝手に自分だけで線引きをして。 その結果がこれだ。 赤毛の少女が言っていたことの内容は悔しいことにいまだ全貌をつかめていない。 しかし、それでもたったひとつ判っていることがある。 このままではお姉様が。 “御坂美琴”が悲しむ事態が巻き起こる。 痛みにひきつり弱音を上げそうになる自分の身体を、ただ意志の力でもって奮い起こす。 手早く傷の処置をして、包帯を巻いて。 下着をつけて。シャツを羽織って。予備の制服に袖を通して。 白井黒子は携帯電話で頼りになる後輩へ連絡をしながら宙へと消えた。 …そして。 白井黒子が『空間移動《テレポート》』をしてから5分程経過しただろうか? カチャリとバスルームの扉が開く。 そこに立つショートカットの少女はバスルームに篭った鉄臭い匂いに、僅かに血液が付着したままの鏡を見てギリ!と奥歯を噛み締めた。 ■とあるマンション 『次回!超機動少女カナミン第13話! 「えっ? 堕天使エロメイド姿でママチャリダンシング(立ちこぎ)?」 あなたのハートに、ドラゴォン☆ブレス!』 聞いているこっちが恥ずかしくなるほどのロリータボイスと共にジャジャン!と派手な音をたててTVアニメ[超機動少女カナミン]が終わった。 アニメは番組間のCMが終わるまでがアニメなんだよ!と言いたげにテレビの前でフンフンと鼻息を鳴らしているのは銀髪のシスター。 彼女の名は禁書目録《インデックス》という。 10万3000冊の魔導書という恐ろしい書庫をその頭脳に収めている少女なのだが… 転がり込んだ先の少年の部屋で日がな一日ゴロゴロモグモグといった自堕落な日常を送っていたりする。 そんなインデックスがテレビを見たまま気の抜けまくった声をあげる。 「とうまーとうまー! お腹へったんだよ?」 それを聞いてガクリと肩を落とすのはツンツン頭の少年だった。 少年の名は上条当麻。 その右手に『幻想殺し《イマジンブレイカー》』という測定不能の恐ろしい力をもっているはずのなのだが… 今は周囲の状況に振り回されては貧乏くじを掴んでしまうという何とも可哀想な日常を送っていたりする。 「インデックスさん…よくもまぁヌケヌケとそんなことを言いやがってこんちくしょう!」 上条当麻が肩を落としているのには理由がある。 月一回の超特売セールで一週間分のコロッケを買いだめしたのも束の間、それを一口も口にしないままインデックスがそれらすべてを路上にぶちまけてしまったのだ。 あぁ、不幸だなー…と呟きたくなったが。 ふと上条当麻は思い出す。 脳裏に浮かぶのはインデックスが突っ込んだ男。 金髪紅眼の見るからに偉そうで怖そうな男だった。 「まぁいつもの上条さんならあそこで100%絡まれてるはずですし? 多少は運が良くなってきたってことなのかね? …てゆうかそう思わなければやってられませんよ」 涙ぐましくそう自分に言い聞かせながら冷蔵庫をパカリとあける。 そこにはモヤシが所狭しと並んでいたが、そりゃもう全然嬉しくなんかはない。 「わーい…モヤシがいっぱいで上条さんはもう何も考えたくありませんよ…」 ドラゴンボールの仙豆とかあればいいのになぁ…なんて現実逃避をする上条当麻。 その時、心底驚きました!と言わんばかりの同居人の声がかかった。 「とうまー! とうまー!!」 「…なんの御用でせうかインデックスさん。 お願いですから叫んでカロリー消費しないでくださいってば」 しかし、そんな上条当麻の文句はもとよりこの少女に届くはずもないのだ。 「そんなの些細なことなんだよ! いいからこっちに来るんだよ!」 そう言われハイハイと重たい腰をあげる上条当麻。 向かう先は可愛らしくも子憎たらしい破天荒な同居人の元である。 ■学園都市・宙空 太陽は既に沈んでいる。 眩いネオンをその瞳にはしらせながら学園都市を白井黒子が飛ぶ。跳ぶ。翔ぶ。 周りからは点々と見えたり消えたりしてるように映るだろう。 『空間移動《テレポート》』を駆使し、痛む身体に鞭打って白井黒子は赤毛の少女の後を追っているのだ。 ブツブツと電波が寸断される為、途切れ途切れの声が携帯電話からは漏れ聞こえる。 「トラウマ…ですの? …あぁ道理で。 確かに彼女は自らを転移させたりはしてませんでしたわね」 頼れる後輩の情報を聞いて、ビルの外壁を蹴りながら白井黒子がそう答える。 『はい! カウンセラーへの通院リストが確認されています! それより白井さん本当に大丈夫ですか?』 電話の向こうから聞こえる心配そうな声に向かって白井黒子はわざと声を張り上げる。 「大丈夫ですわ。 ほんの掠り傷ですもの。 それよりもまだ赤毛女の逃走予測ルートは特定できないんですの?」 『えっ、あ、はい! 今全力でルートを絞っています! 後30秒もあれば…』 だが、今回に限っては初春飾利の助言は必要がないようだった。 ドゴン!と響く凄まじい破壊音。 聞き慣れた爆発音が大気を震わせたのに気付いた白井黒子がそちらを見た。 モクモクとあがる黒煙がここからでも目に飛び込んでくる。 「初春… どうやらこれ以上予想する必要はないみたいですの」 『え? それって一体どういう意味ですか?』 きっと電話の向こうでは、ほのぼのとした少女が不思議そうな声をあげながら首をひねっているのだろう。 容易にその姿が想像できてつい微笑みながら白井黒子は静かにこう言った。 「さっさと終わらせて帰ってきますから。 100点満点のおいしい紅茶を用意して待っててくださいですの」 そう言うだけ言って。 返事を聞こうとはせずに携帯電話をポケットにねじ込んだ。 見間違えるはずも、聞き間違えるはずもない。 あの音の元にこそ、あの黒煙の元にこそ、白井黒子が探しているその人がいる。 あれこそ、白井黒子が大好きで大好きで大好きなお姉様の“超電磁砲”だ。 「今行きますの! お姉さま!!」 そう言って、白井黒子は再び虚空へとその姿を消した。 ■学園都市・雑居ビル 建設途中だったのだろうか? まるで解体されかかった獣のように鉄骨や内壁をさらけ出したそのビルの前には横倒しになったマイクロバスが転がっていた。 「――ッ! いい加減っ! コソコソ隠れてないで出てきなさいって言ってるのよ!!」 ショートカットの少女の苛立った叫び声と共に小さなコインが空を舞う。 どこにでもあるようなゲームセンターの小さなコインは、しかし凄まじい勢いを持って少女の手から射出された。 爆音と共にビルの鉄骨を易々と引きちぎる“それ”は雷神の戦槌のような破壊力で以て大地を揺らす。 少女の名前は御坂美琴。 七人しかいない超能力者(レベル5)の一人であり、学園都市最強の『電撃使い《エレクトロマスター》』である。 中学二年生にして常盤台中学のエースに君臨する少女を人々は恐れと羨望をもって『超電磁砲(レールガン)』と呼ぶ。 そして今、御坂美琴は怒っていた。 ビルの中には10人近くの能力者が篭っている判っている。 だが、それが何だというのだ。 荒れ狂う彼女を止められる者など学園都市に5人もいない。 静まりかえったままのビルに向かって三発目の“超電磁砲”を撃ちこむかと御坂美琴が思った時だった。 「学園都市最強の超能力者のくせに。 …随分と余裕が無いのね?」 ビルから突き出ている鉄骨の上に赤毛の少女がそう言って姿を見せたのだ。 ■学園都市・雑居ビル前 「お姉さま…」 現状の確認と把握のために、今すぐにでも飛び出したい気持ちを抑えてビルの陰から様子を伺った白井黒子がそうポツリと呟いた。 そこでは御坂美琴と赤毛の少女が相対していたのだ。 「そんなに[実験]が再開されるかもしれないことが怖いのかしら?」 そう試すように。 赤毛の少女が白井黒子では知りえない事を唇に載せる。 そして。それを聞いた御坂美琴は怒りを抑えこむようにして静かに口を開く。 「…ええ、怖いわ。 でもね…わたしはそれ以上に頭にきてんのよ」 御坂美琴の脳裏をよぎるは大量の血液が流れたであろうバスルーム。 血生臭く鉄臭い匂い。 完璧主義者なはずの少女が鏡に飛び散った血痕すら忘れてしまう程なのだ。 421 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/05(日) 12 36 51.63 ID 7ofurvBN0 それはいったいどれほどの苦痛と屈辱と苦難だったのだろう。 だから御坂美琴は許せない。 「あのバカ…私が気付かないとでも思ってたのかしら。 医者にも行かないで、今もまだこの空を飛び回っている救いようのない大バカで。 その癖きっと!私と明日顔を合わせればなんでもない様に笑う! そんな強がりで! バカみたいな! 私の大事な後輩を!」 ギリと御坂美琴が私怨でもって赤毛の少女を見上げて叫ぶ。 「この私の都合で巻き込んだ! そんな私自身に頭にきてんのよ!!」 放電をその身に纏わせて吠える御坂美琴を見てジワリと白井黒子の瞳に涙が浮かぶ。 「…おねえさまぁ」 だが、しかし今は泣いている場合ではない。 意志の力でもって胸に広がる思いを無理やり抑えこんで、白井黒子は赤毛の少女を注視した。 赤毛の少女は怒りに身を震わせる最強の“超能力者”を見て、耐えられないように呟く。 「…そう。 さぞかし気分がいいんでしょうね。 己の怒りのままにそんな力を奮ってるのだから。 でもね、悪いけれど“私達”にも貴方と同じくらい退けない理由があるの。 ここで改心して謝る気にはなれないわ」 そう赤毛の少女は笑うが、白井黒子の立つ場所からならば油断無く距離をとろうとしているのが一目瞭然である。 それも当然だろう。 “学園都市に七人しかいない超能力者”という言葉は飾りではない。 赤毛の少女は“大能力者”らしいが、このようなひらけた場所で力を奮う“超電磁砲”に抗うのは無謀にも程がある。 . その時だった。 「…?」 白井黒子は眉をひそめる。 恐らく御坂美琴の立っている場所からは見えないだろうが、白井黒子の場所からならばそれは舞台裏を覗いたように丸見えである。 ビルの陰でコソリと赤毛の少女の仲間であろう少年が何事かを呟いたのだ。 それを聞いた赤毛の少女はハッと年相応の動揺した感情をその端正な顔に走らせる。 しかし、それも束の間。 御坂美琴を見下ろしながら赤毛の少女が口を開く。 「…貴方も退けない、“私達”も退けない。 ならば“私達”は“目的”を達成させるだけよ。 それじゃあね御坂美琴さん?」 そう言って暗がりの中に逃げこもうとした赤毛の少女に向かって御坂美琴が吠える。 「逃げられるとでも…思ってんの!」 それを聞いた赤毛の少女がどこか苦虫を噛み潰したような顔で、けれど口調は優位を保つようにしてこう告げた。 「えぇ、思ってるわ。 とはいえ“私一人”では無理でしょうけどね」 赤毛の少女の言葉と共に。 一気呵成と言わんばかりの叫びが轟く。 ビルの中から一斉に赤毛の少女の仲間が飛び出してきたのだ。 風力使いが、念力使いが、電撃使いが死をも恐れんと言わんばかりに闘志をその目に燃やし。 “超能力者”に、“超電磁砲”に向かって突撃を開始する。 しかし、それは無謀な特攻でしかない。 蹴散らされ、吹き飛ばされ、地面に転がされ、絶望と恐怖に呻くために走ってくる彼等のことが白井黒子は理解出来ない。 一方的で圧倒的な実力差を見せつけ、完膚無きまでに叩きのめして。 そしてようやく御坂美琴は気が付いた。 「…やられた」 悔しそうにポツリとそう呟く。 赤毛の少女がいない。 たった一つの目的を達成するために、10人以上もの少年少女たちがその身を呈して赤毛の少女を守りきったのだ。 悔しそうな、泣きそうな表情を浮かべた御坂美琴の横顔を遠くから見て。 静かに白井黒子が、己の信念を確認するように口を開いた。 「ごめんくださいね、お姉さま。 けれど、ここからが私の出番なのですの」 赤毛の少女が向かう先など、同じ移動系能力者である白井黒子ならば容易に想像がつく。 ゆっくりと立ち上がると制服のポケットの中から彼女の原点を取り出した。 風紀委員《ジャッジメント》の腕章を取り出して、腕につけ。 「貴方のバカな後輩は。 やっぱりどこまでいっても大バカ者で」 痛覚で悲鳴をあげる頭に無理やり演算を押しこんで。 「けれど貴方の元に帰るためにはやっぱり戦い抜くという選択肢以外頭に思い浮かびませんの」 向かう先は赤毛の少女。 戦場の一番奥深くから生還するために、“お姉様”の隣に立つために。 白井黒子の足が大地を蹴った。 ■とあるマンション 「とうまー! とうまー! さっさとこっちに来るんだよ!」 騒がしい食っちゃ寝の同居人の声に引きずられるようにして上条当麻が腑抜けた声をあげる。 「まったくいったいなんなんですかー?」 ふぁ~とアクビをしながらリビングに出た上条当麻に向かってインデックスが震える指でそれを指さした。 「ね、とうま? 私の記憶が確かならば… 猫っていうのはグニャグニャモフモフスリスリだよね?」 「…はぁ? あー…まぁ間違ってはいないだろうけどさ」 何を言い出すんだコイツは?と言いたげな上条当麻の顔を見て、ぷくりとインデックスが頬を膨らませる。 「あらあらどうしたんですかインデックスさん? リスのようにホッペタ膨らませて。 そんなのは食事中だけで充分ですよ?」 そうやって茶化して切り上げようとした上条当麻だったが、それは頭に噛み付かれたインデックスによって中断される。 「むー! 違うもん違うもん! いいからアレを見てってば!」 ガジガジと頭に噛み付いたままのインデックスをそのままにして(慣れ)、言われるがままにインデックスの言葉の先を追って。 「えええええええっ!?」 上条当麻は心底驚愕した。 なんとそこにはピシッと背筋を伸ばしたスフィンクス(三毛猫)の姿が! 「えっと…インデックスさん? 何かしちゃったんですか?」 常日頃ゴロゴログーグーモグモグと誰に似たのか好き勝手気ままに生きるスフィンクス。 それが軍人のように背筋を伸ばして玄関に向かい座っているのだから、そりゃ上条当麻も驚いた。 思わず頭の上にいる少女にそう尋ねてみるも。 「むぅ ひどいよとうま! 私は何もしてないんだからね!」 ガジガジと上条当麻の齧り付いたまま器用にインデックスが返事をする。 「って言ってもなぁ… …おーい?スフィンクスさん? …ごはんだぞー?」 「ごはん? ごはんなの? ね、とうま? ごはん?」 「あーもー黙らっしゃい! 嘘です! 試しに言ってみただけなんです! モヤシでいいなら冷蔵庫にたっぷりあるからかじってらっしゃい!」 普段ならばこのどこぞのシスターに似た食欲旺盛なスフィンクスは『ごはん』と聞けば何処にいてもすっ飛んでくるはずなのだ。 しかしスフィンクスはピクリとも動かない。 一体どうしたのかと不思議に上条当麻が不思議に思った時だった。 上条当麻は勿論、インデックスも知る由はないが、遠い地で誰かが昔こういった。 “動物に人格は通用しない。彼等は圧倒的な力の前にはただひれ伏すばかりである” その時。 来客を知らせるチャイムの音が上条当麻の部屋に鳴り響いた。 チャイムに答えるようにニャアンと鳴いたスフィンクスを珍しく思いながら上条当麻がドアを開けると。 そこには見覚えのある金髪紅眼の男とどう見ても小さい子供が立っていた。 それを見たスフィンクスが再びにゃおんと声をあげる。 「ほう、猫か。 出迎えご苦労」 まるで自分を待っていたように背筋を伸ばした子猫に向かって金髪紅眼の男が偉そうに声をかける。 「えーっと…いったいどちらさま?」 何だか全然意味が判らぬまま、とりあえずそう問いかける上条当麻の言葉を聞いて鷹揚に金髪紅眼の男はこう言った。 「うむ、俺だ」 「……いや、そういうのではなくてですね」 なんか面倒な事態に巻き込まれそうですよ、と上条当麻が内心嘆きはじめたころだった。 それを補佐するように可愛らしい顔をした子供が口を開く。 「えへへ☆ ボク達のこと覚えてない? 君ってコロッケの人だよね?」 勿論このような強烈な印象の男など忘れるはずもない。 まぁ、上条当麻は他にも随分と突飛な格好をしている人間と出会ってもいるが。 「いやそりゃ覚えてるけど…」 しかし何故この男達はわざわざ家にやってきたのだろう、と上条当麻が頭上にクエスチョンマークを浮かべそうなのを見て、金色の男が言葉を発した。 「なに、俺のほんの気まぐれだ。 俺に非がないとはいえあまりにも哀れに思ってだな」 「は、はぁ……」 ぶっ飛んだ思考回路に周回遅れで置き去りにされたような感覚を感じながら生返事を返す上条当麻。 と、金髪の男がゴソゴソと子供の背負った大きな籠のようなリュックから“ソレ”を取り出した。 「そら、受け取るがよい」 ズイ、と差し出されたのは桐の箱。 「え、えっと…これはまたどうも」 呆けた顔のまま思わずその箱を受け取る。 ズシリと重たい箱の中身など見当もつかなかったが、焼印で刻まれている文字を何となく読み上げてみた。 「えーっと… 本場直送…完全…天然…超高級松坂和牛…特撰肉…3キログラム…?」 普段の生活では悲しいことに全く全然目にすることの無いブルジョアな文字が並んでいるせいか、それを理解するのに1分程時間がかかり。 そして上条当麻はようやくそれらが意味することを、箱の中身がなんなのかに気が付いた。 「あ、あの? あののののののの…? これってもしや、もしかして、もしかすると!?」 震える声で三段活用をしつつも上条当麻がそう尋ねると金色の男は当然だと言わんばかりに頷いた。 「気にせんでいいぞ。 なに、それしきでは俺の度量などこれっぽっちも現せんだろうが、何せそれ以上の物が見つからなかったのでな」 まったくしょうがないものだ、と言わんばかりに苦笑する金色の男を見て。 上条当麻はまさに感涙にむせんでもおかしくないほどに感動していた。 (見たか…見たか神様仏様! 何が不幸だ! この王様っぽい人がついにこの上条さんに恵みの手を!!!) そう内心で喜びに震えている上条当麻にかかったのはインデックスの声。 「とうまー!!!」 だが、今そんな事に構ってはいられない。 「ちょっと黙ってらっしゃいインデックスさん! 今上条さんはあまりの感動でもう胸いっぱいなんです!」 しかし、インデックスも負けてはいない。 「何を言ってるのとーま! こっちの準備はもう万端なんだよ!」 「…はい?」 振り返れば、そこには座卓の上に焼肉用のプレートが用意してあった。 「なにをボヤボヤしてるのとーま! こうしている間にも刻一刻とお肉の旨味成分が空気中に散っていってるんだよ! そんなのお肉に対しての冒涜なんだよ!」 今にもお茶碗を箸で叩きそうな様子のインデックス。 そして。座卓の上には普段上条当麻とインデックスが使っているものとは別に。 何故か来客用の茶碗と箸が2つ用意されていた。
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キャラ替えしよう 「待てぇぇ、逃げんなゴラァァァ!!!」「そんなビリビリしてる人なんかに待つ人なんていません!!てか俺が何をしたっていうんだァァァ!!!」「女の子の前で『ぺったんこ』なんて言ってれば怒るに決まってんでしょうが!!」「餅つきのことを話そうと思って言ったのにぃぃ!!もう、不幸だあぁぁぁ!!!」上条当麻と御坂美琴はいつもの通り追いかけっこをしていた。師走の学園都市だということを気にせず、二人の男女は全速力で駆け抜けていった。既に一時間ほど走り回った所で上条は公園に着き、ベンチに腰掛けた。「はあはあ、ったく、やっと撒いたか。いやー疲れた疲れた」上条は壊れかけの自販機に軽く拳を叩き込む。すると、バネがゆるんでいるせいでジュースが出てきた。黒豆サイダー。この自販機にしてはまともな商品だった。「ビリビリキックなんかよりこうするだけで出てくるんだから、あいつも覚えればいいのに」美琴のチェイサーキックに倣って自販機の側面を叩いてみたら、同じように上手く行き警報も鳴らなかった。夏には二千円を飲み込まれたわけだし、このくらいの融通利いてくれなければ割に合わない。だから今では無料ジュース提供機として上条に無料でジュースを恵んでいるのだ。「にしても御坂の奴、どうして俺にばっかりあんなに怒ってんだろう? 今日だって年あけたら知り合いみんな誘って餅つきパーティーしようって言おうと思ったのに… あいつも女の子なんだから素直でお淑やかにしていれば十分可愛いんだけどなー」上条はそう言いながらジュースを飲み干し、空き缶を近くのゴミ箱に捨てた。そして特売の時間を確認すると公園から出ていった。「ふふふ、聞いてしまったぞ上条当麻」草陰から突然現れたメイド服の少女はICレコーダーのスイッチを切り、急いで常盤台の女子寮へと向かった。そのときの目は兄譲りの企みを考えているときの目だった。その夜上条はバスタブの中で眠りこけていた。夏よりずっと白い居候にベッドを占拠され続けたため、バスタブで寝ることに十分馴れた。よってこの日も夢の世界に落ちるのはそう遅くはなかった『こんにちは、上条当麻』『うおっ!!誰だお前!!てかなんですかその堕天使エロメイドは!!?』『私は堕天使エロメイドでもなければ神裂火織でもありません。ただの夢の使いです』『あれ、本名言ってない?それはそうと夢の使いって?』『はい。夢の使いとは魔術の一種であなたの願望とともに現れる精霊です』『俺のガンボウ?なんか願ったっけ?』『あなたは御坂美琴がツンツンしていることがあまり好きではありませんね?むしろもっと素直になって自分と接してほしいと思ってますね?』『まあ、確かにあいつとは友達として喋ってきたけど、友達ならもっと素直になって欲しいよな』『…彼女の気持ちを察して欲しいところですが、とにかくそんな彼女を素直にしてあなたともっと気楽に話し合えるようにしてみせましょう』『本当か堕天使エロメイド!?あいつの性格変えるなんてできるのか?』『だから堕天使エロメイドではありません。話を戻しますがあなたの同意さえあれば性格を変えることができます』『そうか、ならそうしてくれ。そろそろ電撃が当たりそうで怖いんだ。素直になればそうじゃなくなるんだろ?』『はい。では始めます。洗濯洗濯、センタッキー!!御坂美琴の心を洗い給え~~!!』『おお、なんか呪文っぽくないけど効果ありそう!!ありがとな!!』『呪文はかけましたがあなたにもこの呪文の効果を永久のものとするためにしなければならないことがあります。 それは彼女の想いに正直に応えなければなりません。でないと彼女を失意のどん底に堕としてしまうでしょう』『え!?そんなこと聞いてないぞ!!どうすればいいんだ堕天使エロメイド!!!』『だからちげえっつてんだろ!!このド素人が!!』「はっ、夢か……」時刻は午前八時半上条当麻はバスタブの中で起きあがった。冬休みに入ったので学校の授業はないがインデックスにご飯を作るには遅い時間だ。急いで服を整えリビングへ向かったが、白い居候はいなかった。「あれ?この書き置きはインデックスのか?『とうまへ 朝ごはんが来ないから出ていくよ!! 今日はこもえの所で泊まっていくかも!! 少しは反省してほしいんだよ!! ps,れいぞーこの中のものは全部食べたからちゃんと詰めておくんだよ!!』 ……なんて横暴な書き置きなんだ」上条はイギリスの白い悪魔を呪いながら外に出て食事することにした。ジュースだけでは腹は満たないので、近くのファミレスに行くことにした。行く途中こけること5回、車に跳ねられそうになること3回、ストリートファイターに会うこと2回と禄な目に遭わなかったが、なんとかファミレスの近くに着いた。だが、入り口に入ろうとすると後ろから声をかけられた。「お、おはよう!!当麻!」思わず後ろを振り向くと、そこには御坂美琴が立っていた。『当麻』などと呼ぶ人物はインデックス以外にいないはずだ。しかし彼女は今小萌先生の家にいるはずだ。ということは…「み、御坂さん!?今なんとおっしゃいました?」「だ、だから、おはようって言ったんだよ、当麻!」確かに聞こえた。今、御坂美琴の口から『当麻』という声が聞こえたのだ。しかしこれには訳があった。昨日の夕方、美琴の部屋に土御門舞夏がきたのだ。白井黒子はまだ風紀委員から戻っていなかった。「みさかーみさかー、ちょっといいかー?」「土御門、いい加減呼び捨てで名前呼ぶのやめなさい。メイドだったらせめて御坂様でしょ」「まあまあ、そんなことよりこれを聞いて欲しいんだぞー」「ICレコーダー?何か録音でもしたの?」「ふふふ、みさかにとって重要人物の願望だぞー」舞夏は再生ボタンを押して美琴に聞かせた。内容は美琴が追いかけ回した後の当麻の公園での独り言であった。美琴は耳をスピーカーにくっつけ聞いていた。五分ほどで終わり、舞夏はICレコーダーをしまおうとしたが美琴に取られ当麻の声を一瞬でコピーした。「みさか…それを夜のオカズにでもするのか?」「へ!?おおおおお、オカズって何よ?だだだ、大体これはあのバカに聞かせて馬鹿にするためであって――」「ちょっとまったー!!みさか、お前は今の上条当麻の声を聞いていたのか?」「え、あいつは確か、私に素直にお淑やかにしてれば可愛いって言ってたんだよね?」「そうだみさか。だから私が上条当麻に好かれるためにお前に指南しようと思ったのだよ」「な、何をすんのよ一体?」舞夏の突然の提案にびっくりしたが、聞く気マンマンだった。「みさかにとって素直でお淑やかとはズバリ、メイドのように相手に気遣いして相手の言うことを真摯に受け入れることなのだー!!」「ええー!!あいつに対してメイドのようにって……」美琴は盛夏祭のときのメイド服を着て上条に奉仕する姿を思い浮かべた。「無理無理無理無理!!ああああいつのメイドだなんて……」「違うぞみさか、いいか?これから言うことを心がけて行動すればゼッタイに上条の心も動くはずだ!まずはだな――」このあと黒子の帰ってくる一時間ほど美琴は舞夏からメイド特別レッスンを受けた。そして消灯の後も頭の中でシュミレーションを繰り返し、現在の状況となったのだ。そんなことがあったことなど知る由もない上条は美琴の変化に戸惑った。だが、おなかの虫がグゥ~と鳴ると、自分の状況を思い出した。「あー、御坂さん?実は上条さんはまだ朝食前でして、お腹が減っているのですよ。だからお話があるならファミレスの中で話しませんか?」「え!!じゃあおごってあげるから一緒に食べよう?」「ああ、ありがとう御坂」というわけで上条と美琴は二人でファミレスに入り、席に着いた。上条は朝食セットを頼み、美琴はドリンクだけを頼んだ。メニューを片づけられて食事が来るまで二人は黙ってしまった。上条は美琴の様子をじっと見た。いつもと変わらない制服姿であったが何故か体をモジモジとさせていた。顔を赤らめているみたいだしいつもと様子が違うのは明らかだった。「なあ御坂?」「どど、どうしたの、当麻?」「今日どうしたんだ?いつも『アンタ』とかしか言わないのに急に『当麻』って呼んで?」「え……やっぱり嫌だったかな?素直になってみて当麻のこと『当麻』って呼びたくなったからそうしたんだけど…」「……いや、別にいいけどよ。いつもツンツンにしてくるからちょっと驚いたんだよ」「そう…私ね、いつも当麻に逃げられちゃうから接し方変えてみたんだ。そうすれば当麻とお喋りできるかなって思ってさ」「……そうか」上条は未だに困惑していたが、何か引っかかっていた。(素直になる……ツンツンしている……どこかで聞いたような…!! そうだ!今朝みた夢のことだ!!確か堕天使エロメイドが出てきて御坂美琴を素直にするって言ってたな!!)上条は夢の内容を思い出した。そして堕天使エロメイド(夢の使い)が最後に言ったことを思い出した。(最後に確か、呪文はかけましたが俺にもこの呪文の効果を永久のものとするためにしなければならないことがあります。 それは彼女の想いに正直に応えなければなりません。でないと彼女を失意のどん底に堕としてしまうでしょう、 とか言ってたよな?てことはこれは魔術による呪文じゃないのか!?)上条は(実際は違うのだが)そう解釈した。そしてその魔術を解くための方法を考え始めた。(俺のイマジンブレイカーを使えば魔術を打ち消せる。問題はどこに触れれば打ち消せるかだ)上条は美琴の顔をジロジロと覗き始めた。「えっ!ちょ、ちょっと、どうしたの?」「いいからじっとしてろ!」上条は美琴の魔術を解くために探しているつもりだが、美琴にとっては顔をジロジロ見られ恥ずかしかった。すると上条は美琴の頬がいつもより赤いことに気がついた。上条は美琴の隣に移り、顔ごと美琴に近づけた。(頬全体を触れば呪文は解けるかな?)(顔が近い近い近い~~~!!ま、まさかキスでもする気なの!?)二人とも考えていることは大きく外れているのだが、気づくことはなかった。美琴は今にも触れそうな上条の唇を見て決心した。(よ、よし!舞夏にも言われたけど、自分の気持ちに正直になってみよう!当麻は驚くかもしれないけど……)美琴は目をつぶり上条に特攻した。ちゅ(へっ!?!?い、今俺は、な何をしている!?)唇同士を重ねてキスをしてます。ただ上条にはいきなりのことで頭が付いてこなかった。約一分間キスを続けてる二人を店内の人々はチラチラと観察していたが、そこに店員の一人が料理を持ってやってきた。「お客様?料理をお持ちしましたがお後の方がよろしかったでしょうか?」その言葉に美琴は我に返り周りを見渡した。そしてみるみるうちに顔全体が真っ赤になるとポンッと音がした。「わわっわわわわわ私は、その、だから、えっと、ふ、ふにゃあああああぁぁぁぁ!!!!!」美琴は上条をどかして急いで外へ出て行ってしまった。「み、御坂!!どこ行くんだ!!あっ、すいません!戻して来ますので置いといてください!!」「は、はい!!あ、あの、がんばってくださいね!」店員の応援はよくわかんなかったが上条は美琴の後を追った。美琴はいつもの公園にいた。そしてベンチを見つけると座り込んで顔を覆った。「ぐすん……せっかく素直になってみたのに何やっているんだろ私…… …当麻の気も知らないであんなことしちゃ、当麻も嫌だったよね……謝りに行かなくちゃ…」だが美琴は覆った顔を上げる勇気もなかった。当麻に拒絶されてしまうのではないか。そう思うと足がすくんで動けなくなってしまうのだった。上条は途中で美琴を見失ったが、勘を頼りに公園に着いた。そしてベンチで泣いている美琴を見つけ考えた。(美琴の様子が変だったのはおかしいが、あのキスは美琴からしてきたんだよな。てことはアイツは俺のこと……)そして当麻は堕天使エロメイドが言っていたことを思い出した。彼女の想いに応えなければ、彼女は失意のどん底に行ってしまうことを。彼女の周りの世界を守ると約束した当麻はゼッタイにそんなことがあってはダメだと決めた。だから上条は勇気を持って美琴に近づいて行った。「御坂、いや美琴?」上条は美琴に声をかけた。美琴はビクッと震えた。顔も上げられなかった。嫌われるかもしれない、そう思うと覆っている手もどかせなかった。「そのままでいいから聞いて欲しい。言いたいことがあるんだ」当麻は美琴の隣に座ると話し始めた。「お前のさっきまでの行動、俺は最初なんかに操られているんじゃないかって思ったんだ。だから俺の幻想殺しをあてて正気に戻そうと思ったんだ」美琴はまだ顔を覆っている手をどかせなかった。だが当麻は話を続けた。「でもキスしてわかったんだ、いつものお前だって、いや本当の御坂美琴だって。 お前の素直になった気持ちが伝わってきたんだ。だからお前が本当に俺が好きだっていうのがわかったんだ」美琴は覆っていた手を外し当麻を見た。いつになく真剣な眼差しで美琴を見つめていた。「だから俺も美琴の気持ちに応えなきゃいけないよな……お前とはいつもケンカ友達のように接してきたけど今日で終わりだ。 美琴、こんな俺でよければ付き合ってくれないか?お前の素直な笑顔をもっと見たいんだ」当麻は告白した。美琴が望んでいたシチュエーションではなかったが、美琴の心は歓喜の嵐で舞い上がった。そして嬉し涙を流しながら、うん、と頷くと素直な気持ちで当麻に抱きついた。「うわーん、当麻当麻当麻!!!その言葉待ってたよぉー。私も好き!当麻のことだーい好き!!」「今まで気づかなくてごめんな。お前が素直になって初めてわかったんだ」「私も自分に正直になれなかったからごめんね!!ホントは好きだったのにツンツン当たっちゃって!」「心配すんな。そんなことで嫌いになるほど上条さんは冷たくありませんよ」公園のベンチで素直になった二人は約五分間抱き合ったままでいた。そして今度は当麻から、「なあ、キスしてもいいか?」「うん、いいよ」ちゅ美琴からの許可を得て当麻は右手で美琴の頭を掴んでそのまま自分の方に寄せた。先ほどとは違ったキス。同じように見えるかもしれないが二人の感じ方は全く違った。お互いの唇の形を確かめあうように、お互いの味を調べあうように、二人はたっぷりとベンチの上で愛し合った。「さて、じゃあファミレスに戻って朝食としますか?」「うん!さっきはごめんね。ご飯も食べてないのに飛び出したりしたから……」「いいって!お前を追いかけないで食べてたらのどが通らないって」「ふふふ、ありがとね当麻!」美琴は当麻に抱き寄せるように歩いた。美琴の慎ましい胸が時折当麻の腕に当たったが以前よりも気にならなくなった。二人仲良くファミレスに戻ると店員さん一同揃って拍手をした。当麻も美琴も照れくさかったが悪い気はしなかった。当麻が出ていくときにエールを送った店員が暖め直した料理とともに、大きめのグラスに入ったジュースと二つに分岐したストローを差し出した。「朝の一時をごゆっくりと……うふふ」店員は満足しながら別のテーブルへと向かった。他にストローが見当たらないので当麻と美琴は一緒に飲むことにした。「こういうのって相手の顔とか見ながらやるもんだけど、俺が向こうに座ろうか?」「いい。当麻にくっついてのむの」当麻の右腕にしがみつくように抱きしめ、頭を当麻の肩に預けた。相当箍が外れたようで、すっかりツンデレキャラからデレデレキャラに生まれ変わった。なんかもう可愛くて抱きしめたい、当麻は素でそんなことを思った。そこで、そうだ、と当麻は閃いた。「美琴、これ食べ終わったら家に来ないか?昨日話そうと思ってた餅つきパーティーのこと二人で計画しよう」「えっ!?そ、そうね!パーティーのこと考えるんだし当麻の家で話し合わないとね!」要は『お持ち帰り』というわけだが美琴は全然OKだった。「よし、じゃあ二人で最高のパーティーを考えなくちゃな!」「うん!!私、今日はずっーと付き合ってあげる!二人でがんばろ、当麻!!」当麻は朝食を食べ終え、美琴と一緒にファミレスを出た。そしてこのいちゃいちゃカップルは当麻の部屋へと向かった。餅つきパーティーと二人のこれからのことを話し合うために。その後、年が明けて三日目、イギリスから天草式特性の臼と杵を持って神裂や天草式のメンバー、ステイルや清教のシスター達が来て、さらに上条の高校のクラスメイトや常盤台のお嬢様方、初春、佐天、固法、打ち止めを連れた一方通行とグループの皆さん、妹達を代表して10032号と19090号、番外個体を招待して大餅つき大会が開かれた。そこで甘酒で酔っぱらった美琴が計画してたときに当麻と二人でしたことをカミングアウトしてしまい、さらに土御門舞夏がファミレスで起こったことから告白するところまでを納めたDVDが上映され、当麻が招待客からド派手な制裁を喰らったのはまた別の話。
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論者と美琴が交差するとき 常識から外れた行為を行うこと。 自分では思いつかない事象。 非効率的な策略を行ってきたこと。 まさに愚の骨頂であるそれらに対し、彼らは決まってこう言う― 「ありえない」と。 ◇ ◇ ◇ 「はわわわ…!」 あ、ありのまま今起こったことを話します。 『わたしは森の奥から鋭い光が飛んできたと 思ったらケンシロウさんがそれを二本の指で受け止めていた』 な… 何を言ってるのか わからないと思いますが わたしも何がおきたのかわかりませんでした… 頭がどうにかなりそうでした… 人間業だとか超反応だとか そんなチャチなものでは 断じてありません もっと恐ろしいものの片鱗を味わいました… 「森の奥にハイエナがいるようだな…北斗神拳奥義二指真空把の前には無駄なことだ」 と、ケンシロウさんはその矢を投げ返しました。 その矢は真っ直ぐに飛んでいって、何処かの木に刺さったようです。 「どどどうしよう…」 「なの。ここで待っていろ」 「えええっ!危ないですよ!?」 「心配はいらん」 私の警告を聞かずにケンシロウさんは行ってしまいました。 物凄く怒ってるように見えたのは気のせいでしょうかね…。 それにしても…何であんな荒業が出来たんだろう…。 「ううん、とりあえずケンシロウさんが戻ってくるまではここにいようかな」 彼が戻ってくるまで座っていようと思っていたところ、誰かが走ってくるのが見えた。 それもかなりの早さだ。全力疾走と見て間違いない。 「女の子…?」 知らない制服だが、中学生ぐらいの女の子。 何故走ってるのか疑問に思い、声をかけようと思った。 「そこの人!危ないから逃げて!」 「えっ、ええ!?」 「話は後!」 よく分からないままに、半ば強引に連れて行かれてしまいました。 その時はまだ、たいへんな忘れ物をしたことに気が付かなかったのでした。 ◆ ◇ ◇ 「隠れてないでさっさと出て来い。 そんな殺気立った状態では気配が漏れているぞ」 「なかなか実力はあるようですなwww」 矢を放ったのはおそらくこの男。 殺し合いに乗っているのはほぼ明らか。 更に俺ではなくなのを狙ったことから、質が悪い。 「北斗神拳の前には矢など止まった棒にすぎん。貴様、何者だ」 「矢を止めるなんてありえませんなwww 名乗るほどのものではないですが我は論者ですぞwwwwwwwんんww」 不愉快な論者の笑いが耳に残る。 その男はポケットから包丁を取り出してまた笑い出した。 「どういうつもりだ?」 「我は優勝してヤーティが最強であることを証明するんですぞwwwwwwww」 「ならばその野望を断つまでだ」 一子相伝、北斗神拳の構えを取る。 ここに、戦いの火蓋は切られた。 「我のターンですぞwwwww」 論者が包丁片手に斬りかかる。 攻撃極振りな為、一閃に狂いはない。 「あたぁっ!」 ケンシロウはそれをかわすまでも無く、右拳を顔面に叩き込む。 軽くいなされ、論者は大樹に激突する。 衝撃で樹に亀裂が走る。 「んんwwww」 「どうした、それまでか」 よろめく論者に、ケンシロウは余裕の表情を見せる。 「カウンターはありえないwww異教徒の極みですぞww」 対する論者も、血唾を吐き出しながら悪態をつく。 その決定的な実力差に論者はうろたえるが諦めを知らない。 二撃目の攻撃に合わせて、ケンシロウもまた腕を伸ばす。 「五指烈弾!」 「!?」 論者の動きが止まる。 ケンシロウは突き立てた指をゆっくりと引き戻す。 論者の両手、全ての指の秘孔を正確に突いていた。 次第に、論者の指が形を歪めてゆく。 「んんっ!?」 全ての指が爆散し、論者は血の雨を浴びる。 両手を何度見ても、本来あるべきものはない。 「あ、ありえない…………」 「そうなっては人を殺すことも無いだろう。自らの行いを反省しているがいい」 ゲームをプレイする上でとても大切な指。 それら全てを失ってしまった論者は、いつもの笑いをすっかり消失し、ただ痛みに悶え苦しむしかなかった。 今まで積み重ねてきた全てが失われたような気がした。 そんな姿にした人物は既にいなかった…。 ◇ ◆ ◇ 近くにいた東雲なのを連れて、御坂美琴はビルの中へと駆け込んだ。 なかなかしぶとい青鬼から逃げたり隠れたりを繰り返してきたのだ。 しかし彼女の体力的に限界があったので、建物の中に逃げ込もうと思ったのだ。 「あたしは御坂美琴。さっきはいきなりごめんね」 「え?いや大丈夫ですよ。わたしは東雲なのっていいます。ってあれ?」 「ん?どうかした?」 なんでもないですよーとなのは片手をブンブン振りながら誤魔化した。 実は先ほどのいざこざで片腕が取れてしまっていた。 手の位置には…豆鉄砲の発射口がむき出しになっていた。 「そんな怪物が…?」 「…信じられないわよね。あたしだって信じられないわよ…」 化物に追われていたこと。人が殺されたこと。 美琴は唇を噛み締めながら伝えた。 あれは自分の力を見誤った。 あのとき冷静になれなかった自分が嫌で嫌で仕方なかったのだ。 星には謝って許してもらえるか…そんなことは分からない。 「そういえば東雲さん、誰か待ち人がいるって言ってたっけ?」 「はい。ケンシロウさんっていうすごい頼もしい人で…。 襲撃してきた人のいる……森の中に行っちゃったんですけど」 殺し合いに乗るような危険な奴にも見境無く会いに行く…。 まるでアイツみたいな人だな、と思った。 おせっかい好きな奴ほど危なっかしいのだけれど。 (アイツは今どこで何をしてるんだろう…って何考えてんのよあたし……) そんなことはどうでもいい。 そのケンシロウという人が心配であるが、もしかしたらあの化物だってこの近くに居るかもしれない。 下手に出て行くのもあまり芳しくない。 ひとまずここは様子見という結論に至った。 「あの化物が遠くに行くまでここにいたほうがよさそうね」 「ケンシロウさんが無事だといいんですけど…」 根拠の無い発言だが、どうにもならない今は彼の無事を祈るだけであった。 ◇ ◇ ◆ 「なの…?」 一方その頃、役割を終えたケンシロウの目に少女の姿は映らなかった。 代わりに、草むらの中に落ちていた"何か"を拾い上げた。 「これは…まさか」 誰かの左腕。 断面が綺麗に切り取られているが、血液や骨などの部位はみられない。 「精巧な作り物…支給品の類か」 彼は知らない。 わずかな時間のうちに、ちょっとしたいざこざがあったことを。 そして東雲なのと言う少女が、ロボットであることを。 あまり文明の発達していない世紀末を生きてきた彼に、その謎を解くことは出来なかった。 【C-4ビル内/1日目・黎明】 【東雲なの@日常】 [状態] 左腕が無い [装備] なし [道具] 支給品、デュエルディスク@遊戯王、長野原みおのBL漫画@日常 [思考・状況]0:死にたくない 1:化物が去るまで待機 2:ケンシロウさんが無事だといいんですけど… 3:これはもしかして…! ※アニメ最終話より参戦 ※青鬼についての情報を得ました。 【御坂美琴@とある魔術の禁書目録】 [状態] 疲労(小) [装備] なし [道具] 支給品、不明0~2 [思考・状況]0:脱出を試みる 1:化物が去るまで待機 2:星… 3:なんでアイツのこと考えてるんだろう? ※一期最終話より参戦 ※ケンシロウについての情報を得ました。 【C-4森/1日目・黎明】 【ケンシロウ@北斗の拳】 [状態] 健康 [装備] なし [道具] 支給品、ヨーヨー@星のカービィ、マキシムトマト×3@星のカービィ、東雲なのの左腕 [思考・状況]0:『救世主』として殺し合いを終わらせる 1:なのは何処へ…? 2:レイと合流したい 3:この腕は一体…? ※アニメ34話より参戦 ※腕に疑問を持ちました 【論者@ポケットモンスター】 [状態] HA極振り、両手が大破 [装備] なし [道具] 支給品、モンスターボール(ガブリアス)@ポケットモンスター、キラーボウ@ファイアーエムブレム [思考・状況]0:優勝以外ありえないwww 1:ありえない…… 2:森を出て異教徒を倒す ※C-4森エリアに包丁@現実が落ちています。 ※青鬼が付近を散策している可能性があります。 【キラーボウ@ファイアーエムブレム】 必殺の出やすい弓。 No.031 ディフェンス 時系列順 No.033 守る者、守られる者 No.019 善か悪か? 東雲なの No.063 Just truth in my heart No.019 善か悪か? ケンシロウ No.059 SILENT SURVIVOR No.011 自由への逃走 論者 No.048 役割理論理 No.006 図書館の謎 御坂美琴 No.063 Just truth in my heart
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前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/とある底辺と頂点の禁断恋愛 上条は下駄箱で靴を取り出して、外靴と履き替える。 中靴は泥まみれで、汚かったが外靴は買い換えたばかりなのでとても綺麗だ。 ジロジロと奇異と蔑みの視線を浴びて自分の教室へ向かう。 大罪人とは同じ無能力者でも嫌い、そして差別するものなのだと。 たった三人の大罪人の1人と同じ学校だなんて、怖いと思うのも当然だろう。 上条は少し溜息をついて、教室のドアを開ける。 外とは違い、教室の中では皆が上条に挨拶をし、そして話しかけてくる。 「おう上条!訊いたぜ、御坂美琴の専属黒服学生になったんだろ?いいなー」 「給料貰えるんでしょ?上条くんの奢りで焼肉行こうよ!」 「おい、やめとけよ。上条は自分の為に金使えよ?でさ、余裕できたらクラス全員で焼肉行こうぜ?……お前は全く……金遣い荒いんだよ」 「う、うるさいなぁ化粧品を買ってたら自然に無くなるんですぅ」 少女は舌をベーッという風に出して、少年を呆れさせた。 良かった、いつも通りのクラスだと心を撫で下ろす上条。 担任の月詠小萌が出席簿を持って現れ、台が置かれた教壇から目から上の部分だけを出して、背伸びをしながら黒板に何かを書いていく。 カッカッカッというチョークの音が静かな教室に木霊する。 生徒たちはいつもとは異なるユニークで楽しげなハズの担任の醸し出す雰囲気に固唾を呑みながら、その木霊するチョークの音に耳を傾けていた。 クルッと踵を返した小萌はニッコリと生徒たちへ微笑み、そして黒板に大きく書かれた文字を指さした。 「上条ちゃんの専属黒服学生就任祝いとして、今日はシトルセルク地域へ焼肉屋にパーティーなのです!もちろん、上条ちゃんは先生の奢りですよー?」 「……小萌先生はいつも唐突なんだから、さぁ皆!行ける人はこのボードに署名しなさい!自腹だけど」 「……僕は行くでカミやん!」 「俺も行くにゃ―!」 「俺も!」 「あたしも!」 とクラスの大半がその上条就任祝いパーティーに参加し、放課後シトルセルク地域でも有名な焼肉店へ向かった。 シトルセルク地域とは無能力者地域とコーラスフラン地域と隣接している商業的施設が多い地域であり、その焼肉店は1人1500円という安さで様々な サイドメニューも含めてオーダーバイキングとなっていた。 相当余裕の無い者以外は行けるだろう。 * 「ほう……?それで遅くなったと」 「すみません美琴様わたくしめも反省しておりますのでどうかお許しをォォォ!!!」 「許さん、黒子殺れ」 「わかりましたの」 黒子、と呼ばれたものは上条を片手で投げて、そしてコンクリートの壁に磔にされた。 数本の鉄矢が上条の制服を貫通しており、コンクリートに螺子の様に打ち込まれていた。 両足、両手の服が壁と縫い合わされていて、下手に身動きすると怪我をする可能性があった。 「くそっ、なんだこれ!?」 「わたくしの『空間移動』の能力ですの。これからどうぞよろしく、専属黒服学生様?」 「て、テメェ!こ、これどうに……って御坂さん!?どこに行くんですか!置いてきぼりにはしないでってそういうプレイなの?おーいおーい!」 上条はそれから二時間程外で時間厳守についての説明を嫌味ったらしく白井黒子に言い聞かされ、新人学生女中の佐天涙子に「うわぁ」とかなり引かれた 視線を向けられた上条だった。 そして早朝、学生女中の最低起床時間は5時30分であり、上条はその一時間前に起きて風呂場の掃除をしていた。 無駄に広い浴場を一時間かけて掃除し、そして学生女中達を起こし、白井黒子に言いつけられた調理師免許と理容師免許取得の為に30分だけ勉強するという 仕事をこなし、7時に御坂美琴を起こす。 そんな上条は昨日徹夜で縫った制服に腕を通し、誰もいない屋敷の鍵をしめて学校へ向かう。 「あれ、佐天さん。どうしたんだ」 「ああ、チーフ……。ちょっと転んで」 「それほど酷くないな。絆創膏……あったな。自分で貼れるか?」 「ありがとうございます」 昨晩、大雨が降ったのか地面はドロドロで、佐天のスカートは泥まみれになっていた。 上条は遅刻寸前だったが、何かを決意したというか思い立ったのか佐天の手を掴んで屋敷まで戻る。 「え?」 「さぁ、脱いで」 「へ?」 「だから、ドロドロだから洗うんだよ。少しっていうかかなり遅刻するけどいいだろ」 「ああ……じゃあ出てって下さい」 上条はポカーンと、口を大きく開いて「なんで?」と訊いた。 佐天は顔を真っ赤にして「見る気ですか!?」と叫んだ。そして学生鞄を上条の顎元にぶつけて脱衣所のドアをバン!と大きな音を立てて閉める。 いてて、と顎をさする上条は納得した様な表情を浮かべて脱衣所から聴こえてくる布がこすれる音を訊きながらその壁にもたれた。 「なぁ、悩み事でもあるのか」 「……どうしたんですかチーフ。急に」 「いや、今朝も思い悩んでただろ」 神妙な雰囲気になった屋敷。 佐天はふぅ、と一息おいてから上条にその心中を告白する。 「あのですね、実は罪人になったっていうのは嘘なんです。知り合いが大罪人になっちゃって。 それにあたしも関わってたんだけど、罪をかぶってくれて。 罪名は『国家反逆罪』ですよ?別に学園都市は国家でもなんでもないのに」 「……大罪人か。俺と同じだな」 「チーフも……大罪人?」 「ああ、有名な話だ。『第七学区内乱事件』で起こった『CTRR事件』。俺が起こしたんだ」 「史上最悪と言われてるアレですか。詳しい事は……解ってませんよね。アレってどういう事何ですか?」 佐天の問いには答えない。 着替え終わった佐天は少し暗い表情で脱衣所から出てくる。寝衣だ。 制服はすぐに洗濯機に入れて、急速に洗い始める。 佐天はコレ以上訊くのは少し失礼か、と考え違う話題を探していた。 彼女自身、『何故、御坂美琴の学生女中に志願したのかという問いは答えれない』訳なのだが。 「何か、喉乾いたな。お茶沸かすの忘れてたし……買ってくるわ!」 「はぁ、そうですか……」 上条は財布を持って、コンビニに向かう。 この時間帯だと自治団体に声をかけられそうだが……上条は大丈夫かと楽観的に見て走る。 その道中で、彼女を見た。御坂美琴。 しかし常盤台の生徒がこの時間帯にここに居るのだろうか?まだ9時過ぎとはいえ、この時間帯にはおかしい。 軍用ゴーグルを頭につけて、サブマシンガンを片手で持って辺りを見回していた。 「おい、御坂?」 「はい、なんでしょうか。とミサカは声をかけてきた見知らぬ少年に対し、警戒心を込めながら返事します」 「……御坂じゃ……無いのか」 「ミサカですが?」 「訳わかんねぇ、もしかして御坂の妹か何かか?」 「そうですね、といっても遺伝子レベルで同じですが」 「それにしても似てるなー、双子か?」 上条は舐め回す様に御坂の妹と言い張る少女を見る。 「おっと、もうこんな時間ですか。とミサカは時間に厳しい側面を見せながら目的地へ向かいます」 「?、何かするのか?」 「何って―――――廃棄処分ですよ」 意味が分からなかった。 しかしサブマシンガンを持ちながら、中央通りを徘徊するのはいかなるものか、と上条を呆れされる。 引きつった笑みを浮かべながら御坂妹を見送った上条はデジタル腕時計を見て焦りながら何も買わずに屋敷に戻る。 * 「た、ただいまーっ」 「遅かったですね、もう乾いたんで行きますよ?チーフはどうするんですか」 「俺はもう今から行くのも面倒くさいし、このままサボるわ」 「そうですか、じゃあ」 上条は佐天の居なくなった屋敷の個室のソファーにダイブした。 「アレ……マジ誰だったんだ」 第三話 『廃棄処分される人形達』 上条は、目を大きく開いていた。今日は休日だ。しかし佐天涙子は補修、御坂美琴はゲコ太というカエルキャラクターを買い集めるとかで居なくなり、白井黒子は能力開発についての講習があるらしく上条は1人だった。 「……散歩でも行くか」 散歩なんて、超貧乏時代なら出来なかっただろう。御坂様々だな、と感謝しながら靴をはいて外に出る。 眩いばかりの光がコンクリートを反射して目に入ってくる。 眉をひそめながら歩き出す。 休日とはいえ、忙しい学生も多いらしく上条は呑気な表情で眺めながら大きな欠伸をした。 ふと、上条は『違和感』というか懐かしい感じがし、後ろを振り向いた。 軍用ゴーグルを頭に装着している少女は誰だ。御坂美琴だった。昨日の少女か?と悩んだが御坂美琴にしか見えない。 まさか娯楽地域のヲタクタウンまで軍用ゴーグルを買って行っていたのか、と上条は裏路地に消える御坂をこそこそと追いかけていく。 しばらくし、御坂は学園都市でも『選ばれた』研究所の裏口に入っていき、上条もまたその裏口から追う。 「……誰ですか?」 「見つかったか……?」 息を潜める。ガチャッと何かの音がして革靴の音を木霊させながら近付いて行く。 突然、ババババババ!!!と銃声がすると上条の隠れていたコンテナに衝撃が走る。 キュッ、と方向転換した音を上条は聞き取ると御坂じゃない誰かのサブマシンガンを蹴り飛ばす、が。吹き飛ばされたサブマシンガンは磁力により御坂ではない誰かの手に戻る。 そして銃弾を装弾し、再び上条目掛けて引き金を引く。 上条は異能を持つ人間じゃない。到底、銃弾を避けるスキルも止めるスキルも、弾き返すスキルもない。 となると隠れて、好機を探すしか無い。 「嘘だろ!?」 上条の肩に跳弾がかする。 「計算しています、とミサカはネットワークを駆使しながらあなたを処理します」 「ネットワーク、どういうって!危ないな……」 「甘いですね、とミサカはあなたの行動を嘲笑します」 鋭い蹴りが上条の腹部に突き刺さり、地面に膝をついて倒れる。 見下ろす形になったが、少女は上条を踏みつけてサブマシンガンを頭部へ向けた。 引き金を引けばこの少年は簡単に死ぬことになる。 「お前がッ!甘い!」 上条は少女の足に護衛用に渡されていた軍用ナイフを突き刺し、痛みに支配された少女の苦痛の表情を見ながらも左腕で少女の右頬を殴り飛ばす。 ゴリッ、という鈍い音が骨から聴こえ、少女はコンテナに体を打ち付けた。 少女の頭から軍用ゴーグルを外して、上条は片目で除く。中は電子線や磁力の流れなどを確認するモノで上条の周囲からも微弱な電磁波が観測された。 上条は更に奥底へ進んでいく。大きな空洞に出て、鉄製の階段のカツン、という音が響き渡る。 軍用ナイフと殺傷力の低いフリントロック式のゴム弾を持っていたが、使う機会はまだありそうだと固唾の呑んで先へ進む。 機械音がどこかからきこえてくる。 それに合わせてグチャ、ガッ、グショッと妙な音が聴こえてきた。上条はそこから漂う血臭に吐き出しそうになった。 唐突に、銃弾が上条の肩を貫く。 「おいおい、なんで一般人がこんな所にいるんだよ」 「……だ、誰だ……ッ」 「俺か、俺は木原数多っていうここで『お給料』を貰ってるしがない科学者(サラリーマン)だよ」 * 「お前もあの中に入りたいのか?」 「……くっ」 「ああ、そうか。撃ったんだったな。血液不足だ、もうすぐ楽になれるぞ。あの中ではな、出来損ないの人形が廃棄処分されてる。 まずは毒ガスで殺し、大型のプレス機械で骨までグチャグチャにする。簡単だろ?本当はとある実験で使われるハズだったんだが」 「さ、さっき俺が。倒した奴は?」 「コンテナの周りで倒れてた奴か。10032号だった気がするわ、記念すべき10000体目の廃棄処分だ。来週には11000号まで処分する」 「……な、なんだそれは?アイツ、御坂に似てなかったか?」 「そりゃそうだろ、超電磁砲の体細胞で組み上げられた軍用クローンだ。だが、二年前の大規模予算修正で、軍用クローンは必要ないと判断されてな。 絶対能力者進化計画に使うつもりが、上の連中が決められた研究所しか使わないモンだから樹形図の設計図の使用許可は降りない。 アレが無かったら、どうしようもない。処分するしか道は無いな」 「クソ……ッ勝手なことしやがって」 上条の顔に血色は無かった。真っ青で今にも死にそうな。 肩からは血が垂れていて、致命傷では無いが放っておけば死んでしまう。 最後の力を振り絞って、ポケットからフリントロック式のゴム弾を取り出す。ある程度の衝撃を加えると電気が発生する仕組みだ。 しかし木原数多は動じない。白衣のポケットから拳銃を取り出して、上条の頭へ突きつける。 「フリントロックか、今時そんな珍しいモンがあるとはなァ」 「……木原数多、俺に協力しろ」 「……頭大丈夫か。お前、自分を撃った相手に協力を頼むなんてよ!!」 「お前は、この、現状に満足してない。違うか」 「大した洞察眼というか。仕方ねぇな、協力してやるよ幻想殺し(イマジンブレイカー)!」 互いに銃をしまう。上条は壁をつたってまずは病院へ向かおうとしていた。 木原数多はメモ帳に走り書きで書いたモノを上条に手渡し、手を振って未だ血生臭い廊下を歩いて行く。 上条は何度も意識を手放しそうになりながらも、一度訪れた事のある病院へ入っていく。 人は多く、上条の怪我を見ると人は絶句する。待ち時間はそれ程長くなかった。 上条は待合室でニヤニヤと笑う彼を睨みつけた。偶然か、二度と逢いたくなかった人物が目の前にいた。 「垣根帝督……」 「なんだ、前の様に帝督兄ちゃんって呼んでくれないのかよ」 前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/とある底辺と頂点の禁断恋愛
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【種別】 実験 【初出】 三巻 【解説】 体細胞クローン試作個体による先行技術調査を基に( 出典 )、 「レベル5の能力者である超電磁砲」の量産を目指した実験。 『超電磁砲量産計画「妹達」』とも表現される。 天井亜雄を責任者とし、布束砥信も外部スタッフとして参加していた。 【目的】 通常の能力開発では、素養格付などの予測によるカリキュラムを施したとしても、 超能力者(レベル5)に到達できる学生は偶発的にしか現われることがない。 そこで、「超能力者を生み出す遺伝子配列のパターン」を解明し、 クローンを量産することで、100%確実に超能力者を生み出そうとした。 この計画に先んじて、既に超能力者に到達することが見込まれていた御坂美琴から、 交渉人を介して詐取したDNAマップが書庫に登録されており、 この情報を用いた試作体細胞クローンの実験生産が行われていた。 ところが、体細胞クローンや学習装置などの理論・技術を確立し、 量産軍用モデル『妹達』の生産体制を構築しようとした計画最終段階で、 樹形図の設計者の予測演算により、この量産計画で生み出される『妹達』の能力が、 オリジナルの超電磁砲(=御坂美琴)のスペックの1%にも満たない『欠陥電気』であることが判明。 遺伝子操作や後天的教育問わず、クローン体から超能力者を発生させることは不可能と判断され、 すべての研究は即時停止、研究所は閉鎖し計画は凍結された。 後に、この『妹達』の技術は絶対能力進化計画に流用されることとなる。 絶対能力進化計画の凍結後、学園都市上層部は『妹達』各個体の一新とミサカネットワークの再構築を計画し、 第三次製造計画(サードシーズン)を開始したとされる。 一方通行と最終信号の二者を殺害するためだけに番外個体(ミサカワースト)を先行生産しているが、 第三次世界大戦以後のクローン製造状況については現在まで言及がなく、詳細不明である。 【参考】 →0号(プロトタイプ)『ドリー』 →ミサカ00000号(フルチューニング)